米アップルは9月9日(米国時間)に行う発表会で、いよいよ「iPhone 6」と目される新型iPhoneの全容を明らかにする。毎年、この時期に世界中のモバイル市場の話題を総ざらいしていくiPhoneである。今年はどんな驚きを我々にもたらしてくれるのだろうか。

日本国内においては、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルのうち、どのキャリアが販売台数でiPhoneのシェアを握るのか、そちらにも注目が集まる。ところで昨年「iPhone 5s」「iPhone 5c」が販売された当時は、市場の売り上げはどのように推移していたのだろうか。家電量販店における実売データを集計した「BCNランキング」をもとに、本稿で振り返ってみたい。

昨年、全世界にブームを巻き起こしたiPhone 5s、iPhone 5c。発売からわずか3日間で、全世界の販売台数が900万台を突破したと報告されている

スタートダッシュに成功したのはどこ?

日本国内で「iPhone 5s/ 5c」が発売されたのは、2013年9月20日。当時、販売台数上位10機種のうち実に9機種が「iPhone」(うち7機種がiPhone 5s)となっている(2013年9月25日発表のBCNのデータによる)。発売から第1週の時点における販売台数のシェアは、トップがソフトバンクの「iPhone 5s 32GB」、2位がソフトバンクの「iPhone 5s 64GB」だった。第3位と第5位は前モデルの「iPhone 5」。第4位にKDDI(au)の「iPhone 5s 32GB」、第6位にNTTドコモの「iPhone 5s 64GB」が入っている。第1週の結果は、ソフトバンクの快勝だったと言えるだろう。

第2週では、第1位に前モデルの「iPhone 5」が入っているものの、第2位にはソフトバンクの「iPhone 5s 64GB」がランクイン。新型iPhoneの売り上げとしては、第1週、第2週と続けてソフトバンクがシェアトップを獲得した。詳細はマイナビニュースの別稿で確認できる

発売後から第3週、好調なのはどこのキャリア?

さて、第3週の行方はどうなっていたのだろうか。2013年10月6日時点におけるBCNランキングの累計では、iPhone 5s、iPhone 5cともにソフトバンクの販売台数が首位を獲得している。新型iPhoneへの買い換えを助長する「かいかえ割」、前モデルの残債を解消する「残債無料キャンペーン」などの施策により、既存のユーザーを流出させなかったことが好調のひとつの要因でもあった。他キャリアでは在庫の確保が思うように進まなかったことが響いたようだ。それに加え、NTTドコモではキャリアメールをはじめとするサービスの提供で出遅れた。KDDI(au)では、前モデルの「iPhone 5」をキャッシュバック付きで提供。しかし「800MHz帯に対応しない」ことを大々的に公表しなかったために、批判が集中している。こちらも別稿で確認可能だ

発売後1か月の販売シェアは?

iPhone 5s、iPhone 5cの発売から1か月。各キャリアの販売推移はどのように変化していたのだろうか。BCNランキングの実売データ(2013年9月20日から10月20日まで)によると、シェアトップは依然としてソフトバンクで、その割合は市場の40.0%にも達していた。第2位はNTTドコモで33.9%、第3位はKDDI(au)で26.1%という結果。発売前は「NTTドコモのiPhoneに人気が集中するのでは」などと噂されていたが、実際はソフトバンクの独走となっている。総括すると「iPhone 5s、iPhone 5cの発売当時は、iPhoneの販売実績が一番豊富なソフトバンクが優勢だった」とまとめられる。こちらの詳細も別稿で確認できる

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今年も、新型iPhoneの発表を境にして三つ巴の販売競争が繰り広げられ、キャリア間で悲喜こもごものドラマが生まれるのだろう。9月9日まで、あとわずか数日を残すのみとなった。進化したiPhoneの機能や洗練されたデザインも気になるが、3キャリアの販売合戦にも大いに注目していきたい。

(執筆:大石はるか)