以前、「意外に近い別名の駅」を紹介したので、「意外に遠い同名の駅」にも触れたい。今回も東京23区内の駅を対象に、「別の駅名にしたほうがいいのでは?」と感じるほどに離れている同名の駅を探してみた。

京葉線東京駅行の快速列車

東京駅(JR東日本)

この手の話題で真っ先に挙がるのがJR京葉線の東京駅。筆者も先日、東京駅で京葉線へ乗り換えたが、電車遅延で東京駅到着が遅れ、京葉線電車の発車まで残り6~7分という状況に。大急ぎで連絡通路を渡り、なんとか間に合ったことがあった。

京葉線東京駅のある場所はもともと、「成田新幹線」の駅が設置される予定だったという。同駅の位置を地図で見ると、他の在来線・新幹線ホームから南側に離れた東京国際フォーラム付近にあり、隣のJR有楽町駅のほうが近い。市販の時刻表や「JRおでかけネット」の駅構内図でも、新幹線から京葉線への乗換え標準時分を「20分」と紹介している。

東京駅での京葉線への乗換えは大体10分くらいかかるので、初めて京葉線を利用するなら20~30分程度の余裕を持って乗り換えたほうが良さそう。余談だが、JR有楽町駅(京橋口)から京葉線東京駅へ乗り継げる特例もあるらしい。

蔵前駅(都営地下鉄)

蔵前駅は都営浅草線と都営大江戸線の乗換駅。しかし東京都交通局のサイトから駅の立体図を見ると、都営大江戸線蔵前駅A6・A7出口から都営浅草線蔵前駅A2・A4出口まで、「地上のりかえ270M」と記されている。地図で見ても、最も近いと思われるA6出口(都営大江戸線)からA4出口(都営浅草線)まで200m以上離れているようだ。

蔵前駅も含む都営大江戸線都庁前~国立競技場間は、都営地下鉄で最も新しい2000年12月に開業した区間。最大深度49mという地下深くを走り、大半の区間が既存道路の真下に建設されたことも影響し、同じ駅名であっても乗換えに時間を要するケースは多い。蔵前駅の他にも、両国駅(JR総武線との乗換駅)や本郷三丁目駅(東京メトロ丸ノ内線との乗換駅)が地上にいったん出てからの乗換えとなっている。

浅草駅(東武鉄道・東京メトロ・都営地下鉄 / つくばエクスプレス)

東武スカイツリーライン浅草駅

隅田川沿いの浅草駅は、北から東武スカイツリーライン、東京メトロ銀座線、都営浅草線の順に駅が並んでいる。東武スカイツリーラインの駅と都営浅草線の駅は離れている上に地上乗換えのため、ここよりも押上駅(都営浅草線・京成押上線と東京メトロ半蔵門線・東武スカイツリーラインの乗換駅)を利用したほうが便利だろう。

これら3路線とは別につくばエクスプレスの浅草駅もあり、「東京メトロ銀座線・都営浅草線・東武線の浅草駅とは約600m離れています」と同社サイトで案内されている。ちなみに、つくばエクスプレスが開業する前、この駅の仮駅名は「新浅草」だった。

浅草駅周辺には、雷門や浅草寺、浅草花やしきなど観光スポットが多い。東武・東京メトロ・都営地下鉄の浅草駅からつくばエクスプレスの浅草駅まで、東京スカイツリーを眺めつつ散策してみるのも良いかもしれない。

三軒茶屋駅(東急電鉄)

三軒茶屋駅は東急田園都市線と東急世田谷線の乗換駅だが、地下の田園都市線ホームから地上の世田谷線のりばまで離れており、地下通路を歩いて乗り換える必要がある。世田谷線は他の東急線とは別運賃のため、まるで別会社の路線のような印象さえある。

しかし世田谷線も田園都市線渋谷~二子玉川間も、ルーツは「玉電」と呼ばれた玉川線。渋谷~二子玉川園(現・二子玉川)間は1969年に廃止され、後に地下路線として生まれ変わった。玉川線の一部だった三軒茶屋~下高井戸間は世田谷線として残されたが、世田谷線三軒茶屋駅は当初、三軒茶屋交差点付近にあったという。後に駅周辺の再開発でキャロットタワー北側に移設され、現在の位置関係になった。

東急世田谷線で活躍する300系

その他にも、徒歩10分以上離れている東京メトロ東西線早稲田駅と都電荒川線早稲田停留場、開業当初は別の駅だった東京メトロ銀座線・丸ノ内線銀座駅、「夢ロード」と呼ばれる地下通路を歩いて乗り換える東京メトロ銀座線・半蔵門線三越前駅といった例が。地図で見ると近そうでも、ホームが地下深くにあり、他路線との乗換えに時間がかかる都営大江戸線六本木駅・新宿駅なども、「意外に遠い同名の駅」といえるかもしれない。