NTTドコモは9月8日、同社の新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」をアップデートし、3つのサービスを追加した。今回、新たに追加されたのは、オプションサービスの「パケットくりこし」「追加購入データ量の利用期間延長」に加え、月間8GBのプランである「データLパック」だ。

ドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク各社では、音声通話を定額として、データ容量を複数から選べる新料金プランを相次いで発表、導入している。新料金プランを先行導入したのはドコモで、他の2社がほぼ同様の内容で追随。後発であるソフトバンク、KDDIは、データ繰り越しや8GBのデータプランなどで差別化を図っていたが、今回のドコモのアップデートは、それらの独自サービスに対抗したものとなる。

アップルの新型スマートフォン「iPhone 6」の発表も予想されているが、各社の戦いの準備体制はどうなっているのだろうか? あらためて、3社の料金プランをチェックしてみた。一般的な利用シーンを想定し、各社の料金をシミュレーションしてみたので参考にして頂きたい。

各社の料金プランをシミュレーションで比較

今回は、父母と子供2人という家族4人での利用を想定し、各社の料金プランをシミュレーションしてみた。なお、家族4人ともスマートフォンを利用し、1人あたり月間5GB、合計20GBのデータ量を利用すると想定したほか、父親は契約年数10年の長期契約者、子供は2人とも25歳以下としてシミュレーションしている。

家族4人で利用した場合の3社新料金プランのシミュレーション

まず、音声通話を定額とする基本プランの料金は、月額2,700円(以下、金額はすべて税抜)で3社同額となり、4人分は月額10,800円となる。また、インターネット接続料金についても、月額300円で3社同額であり、4人分で月額1,200円となっている。

各社の料金プランで違いが出てくるのがデータ通信料だ。ドコモとソフトバンクの場合、1つのデータプランを家族でシェアすることができるので、1人あたり月間5GBであれば、月額16,000円の月間20GBプランを契約して、4人でシェアすれば良い。なお、代表回線が契約するデータプランを利用するためには、子回線1台あたり月額500円、3人分で合計1,500円のシェアオプション料がかかる。

しかし、KDDIの料金プランの場合、余ったデータ量を家族にギフトとして贈ることはできるものの、1つのデータプランをシェアすることはできないため、月額5,000円の月間5GBプランを4人がそれぞれ契約することになり、データ通信量の合計は月額20,000円となる。

さらに、ドコモでは「U25応援割」、ソフトバンクでは「U25ボーナス」という25歳以下のユーザーを対象とした割引サービスを用意しており、対象ユーザー1人あたり毎月500円が割引されるほか、データ容量が月間1GB追加される。子供2人が25歳以下の家族の場合、合計1,000円の割引となるほか、データ容量は2GB追加されて合計22GBを利用可能だ。なお、KDDIの場合、25歳以下を対象とした割引サービスは実施していない。

そのほか、長期契約者向けの優遇サービスの内容は、各社で異なっているが、ドコモでは、割引サービスの「ずっとドコモ割」を提供。契約年数10年で月間20GBプランに契約している場合、毎月1,000円の割引となる。

一方、ソフトバンクの長期契約者向け優遇サービスは、毎月の利用料金に応じて付与される「Tポイント」の付与率アップで、契約年数10年の場合、ポイントが2倍になる。また、KDDIの長期契約者向け優遇サービスは、割引ではなくデータ容量の増量として提供され、契約年数10年で月間20GBプランに契約している場合、3カ月に1度、1.5GBが追加される。

家族4人で利用したときの各社料金プランの合計金額を比較してみると、ドコモが27,500円で最も安くなっている。合計金額が最も高くなってしまったKDDIと比べると月間4,500円も安くなっており、とりわけ長期契約者や25歳以下を対象とした割引サービス、家族でシェアできるデータプランなどがお得な料金の要因と言える。

分割請求やデータ量の繰り越しにも対応したドコモの料金プラン

このように、家族での利用をシミュレーションすると、ドコモの新料金プランが他社と比べて優位になっているが、さらにドコモでは、9月1日よりデータプランの「シェアパック」が分割請求オプションに対応し、家族での利用がより便利になった。

分割請求オプションを利用すると、これまでは代表回線に対する一括請求だったシェアパックの月額料金を、契約回線に応じて均等に分割して支払うことが可能。就職した子供が一人暮らしをしている場合など、離れて暮らしている家族でも、料金負担に不公平感を生じさることなく、データプランを気軽にシェアできるようになる。データプランのシェアを検討する家族がますます増えそうだ。

また、冒頭でも紹介した通り、ドコモは新たにオプションサービスの「パケットくりこし」「追加購入データ量の利用期間延長」に加え、月間8GBのプランである「データLパック」を導入した。

パケットくりこしは、使い切れなかったデータ量を翌月に繰り越せるサービスで、月間5GB以上のデータプランが対象。余ったデータ量を1GB単位で繰り越せ、翌月末まで利用することが可能だ。また、追加購入データ量についても、これまで利用期間が購入月の月末までとなっていたが、1カ月延長して翌月末までとした。

パケットくりこしと追加購入データ量の利用期間延長により、データ量を無駄にすることなく、効率よく活用できるようになったと言える。月によって利用するデータ量が大きく変動する場合でも、より柔軟にデータプランを選んだり、追加データ量を購入することが可能だろう。

なお、ソフトバンクもパケットくりこしと同様の「データくりこし」を提供しているが、同サービスは家族でデータプランをシェアする場合は適用されず、おもに個人ユーザー向けのサービスとなっている。しかし、ドコモのパケットくりこしは、家族でデータプランをシェアする場合でも利用可能であり、データ量を有効活用したい家族にも最適と言える。

また、ドコモが導入した月間8GBのデータLパックは、従来の「データSパック」(2GB)、「データMパック」(5GB)に続く、個人ユーザー向けのデータプラン。月額料金は6,700円となっている。

これまで、月間5GB超のデータ量を利用したい場合、個人ユーザーでも10GB以上のシェアパックを契約する必要があったが、8GBのデータLパックの登場によって選択肢が広がった。個人のヘビーユーザーも、使い方に合わせて柔軟にプランを選択することができるだろう。

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各社の新料金プランをシミュレーションしたところ、想定した家族4人のケースでは、ドコモの料金プランが最もお得という結果になった。音声通話定額プランをいち早く導入し、さらに今回のアップデートによりデータ量の繰り越しにも対応するなど、新料金プランではドコモの取り組みが他社を一歩リードしているように見える。発売が予想されるiPhone 6の料金プランを各社がどのように打ち出すかは不明だが、牽引役を担うのは、やはりドコモかもしれない。