【インタビュー】

土屋太鳳が思い描く"朝ドラヒロイン像"とは? 笑顔と活力の源は不遇の時代「撮影がない時期も多かった」

1 途中で投げ出そうとした殺人鬼役

 
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女優・土屋太鳳が2015年前期のNHK連続テレビ小説『まれ』のヒロインに抜てきされた。大河ドラマ『龍馬伝』(10年)のほか、『おひさま』(11年)や『花子とアン』(14年)の2本の朝ドラに出演するなど"NHKの申し子"ともいえる土屋。昨年から今年にかけて、映画は『鈴木先生』『アルカナ』『赤々煉恋』『るろうに剣心』、ドラマは『真夜中のパン屋さん』『リミット』『今夜は心だけ抱いて』に出演するなど多忙な日々を送っている。

そんな彼女が、映画『人狼ゲーム ビーストサイド』(8月30日公開)で挑んだのは、殺人鬼・樺山由佳。10人の高校生たちが「人狼ゲーム」に強制参加させられ、由佳はその非日常に興奮を覚えながら"狂気の女"と化していく。朝ドラのヒロインが決まったこともあって取材オファーが殺到している土屋だが、この日も早朝から取材を受けながらも「ありがたい限りです」といつものように笑顔を見せていた。華々しい経歴の裏で「撮影がない時期も多かった」と不遇の時代があったことも明かす土屋。一躍時の人になった今、女優業とどのように向き合っているのか。そして、土屋の思い描く"朝ドラヒロイン像"とは。

映画『人狼ゲーム ビーストサイド』で主演を務める土屋太鳳
撮影:大塚素久(SYASYA)

――今日は私共含めて多数の取材だと聞いています。今までこんなことはありましたか?

えー! ないかもしれません。

――率直な感想は? まだ真っ最中ですが(笑)。

うれしいです! 少しずつ、ノロノロ、今まで積み重ねてきたので…取材をしていただくのもまずは1本からはじまって。そこから少しずつ増えていって…ありがたい限りです。

――衝撃的な役柄でした。マスコミ向けに制作決定が発表された際には、完成した映像は「観てない」とおっしゃっていましたが。

やっと観ることができましたが…観る前の印象とあまり変わっていません。ただ殺し合っているとか、ただゲームをしているとかではなくて、自分や生きている実感などを見つめ直す方もいたらいいなと思います。ただ刺激物的なエンターテイメントにはあまりしたくなくて…。人の心や体が一度崩れると、またもとに戻すのはすごく大変だと思うんですよ。その過程をただ興味本位とか自己満足で表現するのは自分の中でも嫌だなというか、あまり得意ではありませんでした。

猟奇的な表現に挑戦することが「センセーショナルな作品」という捉え方もあると思うんですけど、私はあまりそういう捉え方はしたくなかったので、しっかり何を伝えたいかというのをちゃんと自分の中で持っておきたいと思っていました。

――今まで最も苦しみながら悩んだ作品であることは間違いなさそうですね。

はい。私は演技の技術や基礎が全くないので、これまでは役として生きることが目標でした。例えば、役の環境や時代背景、作品のテーマを考えたり。でも、今までの自分の役作りと心の物差しを全部取り除いていかないと近づけない役だったので、すごく苦しくて。どうしたらいいんだろう。何を伝えたいんだろうと悩みました。ただ、人を殺していけばいいのかというとそうでもありませんし…由佳ちゃんにも「生き残りたい」「本当は友だちが欲しい」「誰かを信じたい」という気持ちはあったんだろうと思いますし…。

――まさに"人狼ゲーム"な世界観なわけですが、妙なリアリティがあってかなりエネルギーを使いながら観る映画だと感じました。撮影は順撮りだったそうですね。

そうです。撮影が進むにつれて、本当に出演者の方々が1人ずついなくなっていくんですよ。なんでこんな言葉を吐かないといけないんだろうとか思いながら撮影していて…。撮影中の怒りがこみ上げてくるような気持ちは、今でも記憶に残っています。

――辞めようとも思ったそうですね。それはどのくらいのタイミングで?

2日目からですかね。本当に涙が止まらなくて…なんなのこれ! って嘆きながら撮影していました。映像で伝わるのが1番いいんですけど、その時の部屋の匂いすら嫌で。自分を強く持ってないと泣いてしまう。藤原季節くん(平一也役)とのシーンでは、いつ殺されるか分からない状況でしたから、目が合ったんですけど、絶対にそらさないように睨んでいました。この役として存在していないと…自分が少しでも出てしまうと泣いてしまいそうで…。その光景を見ていた森川葵ちゃんが「怖かった」と言ってました。その時は「絶対に負けない」という気持ち。終わったら泣いてしまいましたけど(笑)。

――同じく発表時、自分で観る勇気がないことについて「プロとして未熟」とおっしゃっていましたね。土屋さんにとっての「プロ」とはどんな女優?

こういう作品だから観て欲しいとか、きちんと自分の中で整理した上で、伝えたいことが伝えられる人…繊細な部分まで理解している人というか。私はまだ突っ走ることで精一杯。由佳ちゃんが役として成り立っているのか分からなくて。今でもどんな役か問われても答えられません…。演じたら、監督から「演じるな」と言われ、自由にやると「1回台本に戻そう」と言われて、みんな「どうすればいいんだろう…」と悩んでいました。みんなで話しあったり、円陣を組んだり…そんなことをしているうちに、座長と呼ばれるようになりました(笑)。

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目次
(1) 途中で投げ出そうとした殺人鬼役
(2) ふと隣を見ると岡田准一「おめでとう」
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