【レポート】

「うつ状態=うつ病」ではない! 「うつ」について正しく知ろう

 

「うつ」を正しく理解することは、自分や周囲の人を助けることにつながる

「このところずっと気分が沈みがちで、やる気が出ない…。もしかしてうつなのかな? 」。ストレス社会を生きる現代人なら、一度はそう感じたことがある人も少なくないかもしれない。

「うつ」はもはや、市民権を得たと言っていいほどメジャーな言葉になったが、その一方で正しく理解している人はそこまで多くない。そこで、桐和会グループの精神科専門医である波多野良二先生に「うつ」について解説してもらった。

うつ病かどうかを疑う基準は「不調の継続時間」

たとえば「仕事がきつい」「職場の人間関係に悩んでいる」「就職先が見つからない」「睡眠不足が続いている」といったストレスが続けば、誰だって気分も沈み、心身に不調をきたすだろう。

ずっとやる気が出ず(意欲低下)、落ちこんだ気分が続き(憂うつ気分)、慢性的にイライラしてしまったら、誰しもうつを疑いたくなるはずだ。波多野先生は、心身の不調が続く時間がうつかどうかを見分けるポイントになると指摘する。

「医療機関を受診すべきかの判断基準として、その不調の『持続時間』があります。一般的に、2週間程度で終わる一時的な不調であれば特に問題はないでしょう。たとえば、身近な人を病気などで失ってしまった場合、多くの人はその直後は深く落ちこんでも、2カ月もたてば日常に戻っていきます。そして半年、1年と歳月がたつほど悲しみは薄れていくものです。2年もたつ頃には、当初の心情をほとんど忘れてしまう。『忘れる』というのは、ある意味では、人が生きていく上での重要な能力なんですね」。

ただ、中には悲しみの淵から抜け出せない人もいる。波多野先生は続ける。

「1年たっても(身近な人を亡くした)当初の悲しみの中に一人でとどまっているといったケースは、うつ病の可能性があります。不調がさらにエスカレートして、『目が覚めても何も手につかない』『食事も食べられない』『眠れない』『生きていたくない』といった深刻な『うつ状態』が続く場合は、精神科や心療内科といった医療機関を受診すべきですね」。

「うつ状態」=「うつ病」ではない

「うつ状態」に陥ると、大抵の人は真っ先にうつ病を疑うが、うつ状態=うつ病ではない。長期間に及ぶうつ状態をきたす疾患というのは、うつ病以外にも適応障害、パーソナリティ障害、発達障害、統合失調症などがあるという。

「適応障害は、軽度のうつ状態で『心の風邪』とも言われます。過度のストレスによるもので、薬の力を借りずともストレスの原因が改善されたり、時間がたったりすることで自然に治っていくケースも多いです。統合失調症は、外に出て騒ぐなどの行動がある『陽性症状』と、ひきこもりがちになる『陰性症状』があります。うつ病でも自分の行為や内面的な心の動きに罪悪感をもち、自分自身を責める『罪業妄想』などの妄想を伴うことがあります。統合失調症では、他人のちょとした言動や行動に特別な意味づけをし、勝手に自分に関連付ける『関係妄想』など、タイプの異なる妄想がみられます」。

患者それぞれの症状によって、治療法や指導法も異なる。精神科や心療内科を受診するのは、心理面でのハードルが高いかもしれないが、気分の変調が長く続くときは一人で悩むことなくまずは受診するように努めてみよう。

写真と本文は関係ありません

記事監修: 波多野良二(はたの りょうじ)

千葉大学医学部卒業、精神保健指定医・精神科専門医に。東京の城東地区に基盤を置く桐和会グループで、日夜多くの患者さんの診療にあたっている。
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