スマートフォンからの文字入力は、パソコンと比較するとやや窮屈なものだった。感触のないタッチパネルの中に再現されたバーチャルキーボードの中でも、反応速度と、押したことをフィードバックするキーの拡大という仕組みで、iOSのキーボードは使いやすい部類に入っていたと言える。

しかし、キーボードの反応が良好なだけでは、ただ日本人にとっての快適な文字入力とまではいかない。ひらがなで入力して漢字に変換するという「日本語変換」を行う必要があり、変換精度が文字入力の快適さのもう一つの要素として存在しているからだ。

キーボードの使いやすさ、変換精度、そして新しい方法……。iOS 8で変化しそうな「文字入力」について考える。

「QuickType」予測入力を幅広い言語へ

皆さんのiPhoneで、「あ」と打ち込むとどうなるだろう。

キーボードのすぐ上の領域に、「あ」から始まる言葉がいくつか並ぶはずだ。筆者の場合「暗号」「赤くなった」「あー」「ある」と並んでいる。これらは直前に入力した言葉や使用頻度の高い言葉表示し、全てをタイプしなくても言葉を選択して入力できるようにしているものだ。

予測変換や推測変換などと呼ばれるこの機能は、iPhone以前の携帯電話端末から採用されていた仕組みだ。テンキーから50音を入力していた携帯電話は、キーの打鍵数を減らす努力をしてきた。予測変換によって、少ないテンキーの入力と、十字キーと決定キーでの候補選択、という入力スタイルを確立している。

携帯電話ではこの予測入力を当たり前のように使って来た日本。前述の通り、iPhoneの入力にも既に予測変換の機能が搭載されてきた。そして、iPhone・iPad向けに秋にリリースされるiOS 8で、予測入力が日本語以外の言語でも対応する。

iOS 8の新しい機能としてWWDC14で発表されたQuickType。クセや文脈、相手を学習しながら予測入力の候補を挙げてくれるようになった。WWDC14では、以前から実現してきた日本語の予測変化についても、スライドで紹介した