2015年7月14日に「Windows Server 2003」の延長サポートが終了するが、それに続き2016年4月12日には「SQL Server 2005」、2019年7月9日には「SQL Server 2008」の延長サポートが終了する。ともに現時点では延長サポート期間中ではあるものの、すでにメインストリームサポートは終了しているので、セキュリティリスクに対する修正プログラムが提供されないなど、注意が必要だ。

また、古いバージョンのSQL Server製品を使い続けることにより、オンライン処理のレスポンスやバッチ処理、データ検索のパフォーマンスの低下、データ量の増大に対応するための拡張性の制限、セキュリティ対策や運用管理、メンテナンスなどに伴う保守費用の増加など、さまざまな課題を抱えることになる。

パフォーマンスの低下を改善するためには、最新のSQL Serverと最新のx86サーバー製品に更新することが必要になる。たとえば、「IBM System x3650」を「IBM System x3650 M4」に更新することで、約6倍の性能向上が期待できるとしている。このときフラッシュ・ストレージ製品を併用することで、一段と大幅なパフォーマンスの向上を実現できる。

さらに32ビット版のSQL Serverでは、2GBまでのメモリ領域しか使用できないために、大量のユーザーやデータを取り扱うための拡張性に制限がある。そこで64ビット版のSQL Serverに移行することで、メモリ領域を2000倍以上に拡大することができる。これにより、急激なデータ量の増加やユーザー数の増大にも安心して対応することができる。

一方、保守費用の改善策としても、たとえば15台のIBM System x3650で運用しているシステムを、3台のIBM System x3650 M4に統合することで、保守費用を大幅に削減することが可能だ。同等以上の性能や信頼性、可用性を実現しながら、保守費用を約75%削減することが期待できる。

SQL Serverの移行では、2014年2月に発表されたフラグシップモデルである「第6世代エンタープライズX-アーキテクチャ(X6アーキテクチャ)」が有効になる。X6アーキテクチャでは、20年におよぶx86サーバーの研究開発に基づく経験や実績、ノウハウを生かし、他社に先駆けて実装したeXFlash メモリー・チャネル・ストレージにより、SQL Serverを劇的に高速化することができる。

SQL Serverをアップグレードする

SQL Serverをアップグレードするメリットは理解できるものの、いざアップグレードを行うとなると不安を感じるシステム管理者も多いのではないだろうか。しかしSQL Serverのアップグレードは、それほど難しいものではない。古いバージョンのSQL Serverをデタッチし、新しいサーバー環境にSQL Server 2014をアタッチするだけの作業でSQL Serverのアップグレードを実現できる。

このとき業務システムごとに異なるバージョンのWindows ServerとSQL Serverの組み合わせが乱立していて早急な移行が困難という場合でも、最新のサーバー製品とHyper-Vで仮想サーバー統合を実現することで、業務システムごとのライフサイクルに合わせた移行が可能になる。サーバーの仮想化により、運用管理環境を統一することができるので、運用管理コストやハードウェアコストを削減することもできる。

このとき、SQL Serverのアップグレードと同時にフラッシュ・ストレージを導入することで、パフォーマンスを劇的に向上し、「バッチ処理が終わらない」「オンライン処理の応答時間が遅い」といった問題を解決することができる。フラッシュ・ストレージが高速な理由は、フラッシュ・ストレージが半導体素子に直接データを読み書きするためだ。半導体素子はハードディスクのようなシークタイムが不要のため、最大で1000倍の高速化を実現できる。SQL Serverのチューニングなど、ソフトウェアの設定やアプリケーションに手を加えることなく、高速化ができるのも、注目したいポイントだ。

SQL Serverの想定移行パターン

System xとSQL Serverの導入を支援するIBM

日本アイ・ビー・エム(日本IBM)では、System xサーバー製品と驚異的なデータ転送速度を実現したフラッシュ・ストレージ(eXFlash DIMM、またはHigh IOPS MLCアダプタ)を組み合わせた製品を特別価格で提供する「内蔵フラッシュでDBを簡単高速化キャンペーン」を実施している。同キャンペーンを利用することで、データベース環境を容易に高速化することができる。

同キャンペーンでは、日本IBMが推奨するサーバー、メモリ、フラッシュ・ストレージを組み合わせた「SQL Server 2012 高速データベース折紙付構成」を提供する。折紙付構成には、IBM System x3750 M4をベースに10TBの「IBM FlashSystem 820」をInfiniBand接続した構成や、IBM System x3750 M4をベースに8台の「1.8型eXFlash Enterprise Value SSD」(512GB)、つまり合計4TBのストレージを内蔵した構成などがある。

これらのシステム構成は、日本マイクロソフトの「SQL Server 2012 SSD Appliance」認定を取得した事前検証済みのソリューションであることから、企業は安心かつ短期間で、SQL Serverを導入・運用することができる。

なお、SQL Serverのアップグレードに関する情報を掲載した冊子「Windows Server 2012との同時移行が効果的! SQL Serverアップグレードのお勧め」を日本IBMのウェブサイトからダウンロードすることができる。