会社の飲み会で悪口はつきものですね。
社会人が抱える大いなる心の闇を軽く見てはいけません。黄河の源泉ではないかと思うくらい、無尽蔵に湧いてきます。

仕事終わりからの飲み会などになると、どうしても普段の鬱憤(うっぷん)がでてしまう人はいます。しかし、それを聞くのが好きではない人がいることもまた事実。

ある女性からツイッターでダイレクトメッセージがきました。
彼女は僕が管理人をする「無能の就活。」というブログを初期から見てくれていた方で、現在は内定をとり、立派に社会人をしています。ただ、どうしても先輩や上司から聞かされる悪口陰口が耐えられないそう。帰りの電車では胸焼けのような、嫌な気持ちになるそうです。

悪口を犬のしつけのように真っ向から「やめんしゃい!」と怒鳴りつけるわけにはいきません。そんなことをして自分の立場が悪くなったら、元も子もないです。ですから、うまく回避し、自分の心の安寧を保つ方法を考察します。

職場は人間関係の広がりが制限されている

これは自分自身の性格に要因があったと考えています。大前提として、悪口に参加してはいけません。

会話が悪口の流れになっていると気付いても、軌道修正は、なかなかどうして難しいものです(特に自分が下っ端の場合)。ですから、しゃべらなくて結構です。「一切、自分はここでなされている会話に(その瞬間だけ)関知しませんよ」というスタンスでいましょう。帰り道のコンビニでどのアイスクリームを買って帰るかでも考えていてください。

もし無言でいることが明らかにおかしい場面であれば、肯定も否定もしないのが無難です。「へェ~、そうなんですね。あまり関わったことがないので~」とか「そうなんですか~。そういう面もあるんですね~」といった感じで受け流すのが最も波風が立ちません。意外と悪口はその話題について意気投合する少人数で盛り上がっている場合が多いので、意外とこれだけでも通用します。

悪口の加担を求められたら『逆褒め』

しかし、「お前はどう思う?」や「お前もそう思うだろ?」と意見を求められたりすることがあります。そこは悪口の対象となっている人を『逆に褒める』ことをしましょう。

笑顔で「でも○○さんって~~っていう面もありますよね~。この前、それですごく助かったんです」「○○さんとはあまり関わったことないんですけど、別の人は~~って褒めてましたよ~」などと柔らかく言えば、たいていの場合、「まぁ、それは確かにそうだね」という反応があります。会話の流れとして全く不自然ではなく、軌道修正ができます。

「ちゃうねん! それだまされとんねん!」などと返してくる人もいますが、自分が『逆褒め』という話題提供ができれば、その席に自分と同意見の人がいれば加勢してくれるはずです。

止まらない悪口には『褒め返し』

まれに、前述のテクニックを駆使しても無尽蔵の悪口を続ける人がいますが、よほどの憎しみを抱えているのでしょうから、優しくしてあげてください。話の方向性をその悪口の対象となっている人から、『言っている本人』に向けてあげましょう。

例えば「あいつはダメだ」という話であれば、「でも、そう言いながらも面倒を見ている○○さんって面倒見がいいですよね。昔からそうなんですか?」などと、おだててあげましょう。そのときは無理やりにでもエピソードを持って、具体的に話してあげるのがコツです。

そのまま方向性を戻して悪口を言い続けられる人は、ほとんどいないはずです。

自分が言うなら『後味は爽やかに』

ただ、考えておきたいのが、自分も不満を悪口の対象になっている人に対して持ってしまっているときです。

悪口とまでは言わずとも、一つの日常会話として、批判的な内容を話しているかもしれません。それは悪口の種なので好ましくないですが、二元論では語れないのが会社の難しさでしょう。

もし自分が批判的な話を場に提供しても、『無理やりにでも前向きに』話を締めてください。「って言ってますけど、あの人は~~は良いところなので、見習ってるんですけどね」など、後味を爽やかにしましょう。『最後には認めている』という事実を残すと、後の会話の流れにかなりの差が出ます。

話すなら会社と関係のない人

もし、上記すらできないなら、悪口(の種)は一切、口にするべきではありません。

少なくとも仕事で関わりのある人を相手にするのはタブーです。家族や、信頼できる友人だけにすると心に誓っておきましょう。

以上です。

なぜ飲み会で悪口を言ってしまうのか

根本的に、なぜ人は飲み会になると悪口を言うのか考えると、まず上がるのは

「口に出してストレス発散したい」
「自分の不利益を周知したい」

でしょう。つまり、受け止めてあげるだけで相手は満足できるのです。便乗する必要も、意見を述べる必要も、基本的にはありません。

しかし

「共感者がいる安心感を得たい」

が理由だったときは、注意してください。このときが、自分が努力して上記の『褒めテク』を駆使するときです。

健全で、前向きな楽しい飲み会がよいですね。自分がそれを望むなら、時には自分が努力することも大切です。フライドポテトをいじくって時が過ぎるのを待っていてはいけないのです。

※画像は本文とは関係ありません


武野光
平成2年生まれ。「TOEIC未受験」「サークル未所属」「友達の数が片手未満」といった状況から就職活動に挑み、その体験から得た教訓をつづったブログ『無能の就活。』が大きな反響に。現在はサラリーマンと兼業で作家活動を行う。著書に『凡人内定戦略』『凡人面接戦略』(中経出版)、『就活あるある ~内定する人しない人~』(主婦と生活社)など。