旅心を誘われるご当地スープって?(写真はイメージ)

旅行ガイドブック作りのコンセプトをそのままカップスープ作りに応用。そんな新しい発想で展開されているのが、エースコックと女性向けガイドブック「ことりっぷ」がコラボしたインスタントカップスープ"ことりっぷスープシリーズ"である。現在までに3つの味が開発されているようだが、それぞれどんな味でどんなこだわりがつまっているのか、開発者に尋ねてみた。

シリーズ最新作は沖縄旅をイメージ

この6月23日に同シリーズの第3弾として登場したのが、沖縄旅をイメージした「ゴーヤと豆腐のスープ」である。粉末スープを開封した時、ゴロっと出てくるゴーヤと豆腐が印象的。一番のこだわりは、塩に沖縄の海水を100%原料とした「沖縄の海水塩 青い海」を使っていることにあるという。

ゴーヤ特有の苦味はそのまま、豆腐はほろっと崩れる柔らかである。そのほか、肉そぼろやキャベツ、ネギ、卵を具材にして、豚骨とかつおだしで仕上げたスープは、「そうそう、沖縄ってこんな感じ!」などと、一瞬、沖縄を思い出させてくれる。

第3弾「ことりっぷ沖縄 ゴーヤと豆腐のスープ」(150円)。ゴーヤの苦味もそのままだ

実際に京都旅をしながら開発

この"ことりっぷスープシリーズ"のはじまりは、2013年5月の京都のスープから。ことりっぷのコンセプトは、"働く女性が週末に行く小さな贅沢、自分だけの旅"であり、同商品の開発もこのコンセプトをもとにしている。

商品開発部隊は女性で編成されており、実際に京都に赴き、ことりっぷを片手に様々な店で試食を重ねながら、女性目線での開発に努めたという。スープを飲んで眼をつぶれば、そこには京都の風景が……そんな気分にもこのスープはしてくれるのかもしれない。

その京都スープというのが「くずし豆腐の京だしスープ」で、鯛や鰹、昆布などの和風だしに醤油を加え、とろみのある京だしベースに仕上げている。開発で一番こだわったのが七味選び。昭和7年(1932)創業の、京都の香辛料の老舗から仕入れており、七味の刺激がスープにアクセントをもたらしている。豆腐とねぎ、唐辛子と彩りも豊かで、豆腐に箸を通してかき混ぜ、くずしながら食べるのがオススメとのこと。

「いしる」が隠し味の金沢スープ

同年に発売された第2弾は、金沢の「かにだしとろみすぅぷ」。カニのうまみがぜいたくに出ている上に、隠し味として「いしる」が入っているのがポイントだ。「いしる」とは魚介類を主な原料とする魚醤(ぎょしょう)の一種で、特に能登地方で作られるものをそう呼ぶ。料理に旨みを与えてくれるこのいしるは、各エキスの旨みをさらに引き立てたのだろう。具はカニ風味の団子を中心として、まろやかな卵やキャベツ、ねぎ、唐辛子で仕上げられている。

第1弾「ことりっぷ京都 くずし豆腐の京だしスープ」

第2弾「ことりっぷ金沢 かにだしとろみすぅぷ」

いずれのスープも、現地のイメージに合うような味づくりにこだわって開発したと言う。なお、第1弾と第2弾はすでに販売を終了しており、第3弾は取扱店舗を限定しながら全国で発売している。週末の小さなぜいたく旅を夢見て、平日はことりっぷスープをすすりながら旅に思いをはせる。そんな女性たちの日常にふさわしいスープといえそうだ。

※ことりっぷは昭文社の登録商標。記事中の情報は2014年7月取材時のもの。価格は税別