Q:なるほど。で、そろそろ時間なので、総括というか、今後の展望などを。

A:これは昔から言ってる事でもあるんですが、いま凄く仕事楽しいんですね(笑)。今、我々が伸びているのは、先ほども申し上げたCommunicationの部分もあるんですが、顧客の動向を見ているとやはりASICから移行されているところが結構多いわけです。日本の顧客の話を伺ってると、「ASICは安い」といって使い続けてこられたのが、段々開発費が高騰してきて、開発費を払いきれない壁がある。

Q:ただその開発費ですが、例えばTSMCが今度28nm HPMの廉価版としてHPCというプロセスをリリースすると言っています。ほかにもUMCとかSMICなどもやる事を表明していて、プロセスコスト自体は以前のウェハ1枚100万とか言っていたのが、40万とかに落ちてこようとしています。あるいはEDAツールも以前より性能が上がって、自動化の範囲が増えつつあります。ですので、28nmを使ってASICを作る場合の敷居が以前より下がりつつありますが。

A:コストに関しては2つ考えないといけないと思うんです。1つはプロセス開発コストですね。これは何億ドル、何百億円のオーダーです。これの償却は、当然そのプロセスを使っての製造の初期には多めに乗ってきますが、次第に減ってゆく。もう1つはマスクコストで、これは何億円のオーダーですね。で、このマスクコストが下がらない。ですので、昔何千万円で作れていたものが今は8億円とか10億円といった金額になる。これをどう償却するか、だと思うんですね。確かにプロセスコストそのものは下がっているかもしれませんが、マスクコストは全然下がっていない。

Q:では日本のマーケットは引き続きASIC→FPGAの流れが続く、と。

A:我々が見ている範囲ではそうですね。

Q:Mobileは如何ですか? Mobile Consumer Device向け。最近はこの分野向けをやられてないですよね?

A:やってないですね。時々、我々で言えばSpartanクラスの要望が出ることはありますが、今のところ難しいかと思ってます。理由はですね、例えばこうしたスマートフォンなどの場合は数のビジネスモデルになるんですね。つまりVolumeがある。その場合はASICの10億円のマスクコストは償却できるかもしれない。

あともう1つ私が気にしているのは、日本の民生機器、例えばTVがいい例なんですが、TVが50型を超えて60型とかになると30万円とか35万円とかになりますよね。これはもちろん4K2Kの話を申し上げている訳ではなく、普通のFull HDの話です。これが、先日アメリカに行ったさいの話ですが、Walmartに行ったら60型は中国メーカーばっかりで、値段が699ドル(笑)。ちなみに日本のメーカーはSANYOしかなかったんですけどね(笑)。

もっとも、彼らは店舗を明るくして、そこでバックライトの輝度最大で展示してるんで綺麗に見えるんですが、それを自宅に持ってきて薄暗い部屋で見ると電球を見ているような気になる(笑)。これ、見てて疲れないのかなと思いましたね。ただそれはともかくとして、そんな感じで日本のメーカーの民生分野のポジションが非常に危うくなっている。

あともう1つ、これは国というか経済産業省が、ということになると思うんですが、どこに投資するかという話です。投資できる金額は限られている訳で、正直に申し上げると半導体がどれだけ見込みがあるのか判らない。なので、半導体にも投資しながらシステムにも投資して、なんて事をしても絶対的な金額が少なすぎますよね。それであれば、どちらかを選んだ方が良いんじゃないかな、と。私自身としてはシステムに投資した方が見込みが高いと思うんですけどね。あくまでもMy Opinionですが。

Q:で、そのシステムではXilinxを使ってくれと(笑)。