説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhoneが原因不明の発熱、どうすればいい?」という質問に答えます。

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iPhoneはスマートフォンであり携帯電話ですが、小さなコンピュータでもあります。その性能はひと昔前の高性能ワークステーション級で、演算性能も描画能力も立派なコンピュータです。数年前に発売されたパソコンの性能すら上回るほど、高い処理能力を持っているのです。

その処理の中枢を担うのがCPUです。iPhoneの場合、描画処理専用チップ(GPU)などを統合しているため「SoC(System on a Chip)と呼ばれることもありますが、人間でいえば頭脳にあたる部分が一手に演算処理を引き受ける構造は一般的なコンピュータと変わりありません。

そのCPUは、処理を行う際発熱します。しかし、複雑な計算など高い負荷を伴う処理を終えてしまえば、発熱は収まるため、次第に熱は下がっていきます。iPhoneの場合、本体構造(フレーム)に熱を逃がしボディ全体で放熱する構造をとっているため、風通しのいい場所や熱伝導率が高い金属製のデスクの上に置いておくと、より短時間で熱が下がります。ケースは放熱を妨げるため、熱対策という意味では好ましくありません。

しかし、しばらく待っても熱が収まらないどころか、いっそう熱を帯びていくことがあります。いわゆる「暴走」という状態で、プログラム(アプリやシステム)がなんらかの原因でループ処理に陥った場合などに発生します。暴走はCPUのフル稼働を伴うため、発熱に放熱が追いつかず、iPhoneが熱くなるというわけです。あわせて電力も消費されるため、バッテリーが減るペースの速さで暴走中のプログラムの有無を推定することもできます。

対処方法としては、疑わしいアプリをタスク管理画面で終了させることが挙げられます。原因となるアプリを特定できない場合は、スリープボタンを長押ししてシステムの再起動を行うといいでしょう。これで、暴走しているプログラムを止めることができます。

iPhoneがふだんより熱い、バッテリーの減るペースがかなり速い、という場合は「暴走」を疑いましょう。疑わしいアプリを終了するか、システムを再起動すれば止めることができます