説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「Safariの閲覧履歴が追跡されることがあるって本当ですか? 」という質問に答えます。

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iPhone(iOS)に標準装備のWEBブラウザ「Safari」には、WEBサイトにアクセスした人物の閲覧行動を記録させない機能があります。この機能は『設定』の「Safari」項目に「追跡しない」スイッチとして用意され、初期値でオンに設定されています。

この「追跡しない」スイッチは、インターネットで広く利用されている「トラッキング」に備えるためのものです。トラッキングとは、WEBサイトを利用した人の行動を記録する技術の総称で、どのようなページを閲覧したか、どのWEBサイトからリンクをたどってきたか、といった情報を収集します。ショッピングサイトを見ていると、自分が過去にチェックした商品が表示されることがありますが、それも一種のトラッキングにより実現されています。

トラッキングはユーザの利便性につながる反面、アクセス記録が無断で使用されているともいえます。どの製品をチェックしたか分析すれば、個人の趣味・趣向がある程度現れますから、神経質になるユーザが多いことも事実です。そのようなトラッキングに対し拒否の意思表明を伝達できるようにした仕様が「Do Not Track」で、「追跡しない」はそのDo Not Trackをオン/オフするためのスイッチといえます。

ただし、Do Not Trackは完全ではありません。その信号を受け取ったWEBサイトはトラッキングの中止を求められますが、一種の紳士協定であり法的拘束力はありません。実際、Do Not Trackの信号を無視するWEBサイトは少なくありません。オフにすることはないけれどオンにしても安全が保証されるわけではない、と考えておいたほうがいいでしょう。

SafariにはDo Not Trackに対応したスイッチが用意されていますが、オンにしていれば完全にトラッキングを遮断できるというわけではありません