父子家庭にも遺族年金が支給されるように

共働き世帯が増えている昨今、お父さんに朗報だ。4月1日以降、父子家庭にも遺族基礎年金が支給されるようになった。これまでの遺族基礎年金は、国民年金に加入中の人が亡くなった時、その人によって生計を維持されていた「18歳到達年度の末日までの間にある子(障害状態にある20歳未満)のいる妻」または「子」に支給されていた。対象が母子家庭に限定されていたのは、男性が家計を支えていることを前提に制度がつくられていたからである。今回は、遺族年金の改正内容をファイナンシャル・プランナーの村松祐子さんに解説していただく。

子が0歳の時に妻が亡くなると約1,800万円

共働き世帯では、妻が亡くなっても夫には遺族基礎年金が支給されませんでしたが、夫婦2人で家計を支える世帯も増える中、支給対象を<子のいる妻→子のいる配偶者>に改めることになりました。ただ、4月1日以降、子のある夫には遺族基礎年金が支給されますが、妻の死亡が3月以前だとさかのぼって支給されることはありません。

また、父子家庭となる前、死亡した妻が第三号被保険者(厚生年金加入者に扶養されている配偶者)であるなしにかかわらず受け取ることができます。ただし、死亡時の遺族の年収要件は据え置かれ、「生計を維持されていた」と認められるための年収850万円未満という基準は変わりません。この金額未満の収入であれば支給対象になります。 その支給金額は、以下の通りです(年金額は平成26年度のもの)。

配偶者と子1人 年間 99万5,200円 配偶者と子2人 年間121万7,600円 配偶者と子3人 年間129万1,700円

子が0才のときに妻が亡くなったとすると、18才の年度末を迎えるまでに総額約1,800万円の遺族基礎年金を受け取ることができます。

しかしながら、遺族厚生年金を夫が受給するには妻の死亡時に夫が55歳以上という年齢制限が残っています。遺族厚生年金は、夫が亡くなった場合と妻が亡くなった場合で受給が異なります。子の有無に関係なく、妻は遺族厚生年金を一生涯受け取ることができます(ただし、30歳未満の子のない妻は5年間の有期給付となります)。夫の場合は、妻が亡くなった時点で55歳以上であることが条件であり、支給開始は60歳からです。ただし、遺族基礎年金を受給できる夫(子のいる)で妻の死亡時に55歳以上の場合、支給停止は行われず60歳前でも遺族厚生年金を受け取れます(出所: 日本年金機構)。

共働き世帯で、死亡保険をかけている妻は見直しが必要か否か必要保障額の試算と確認をしてみるとよいでしょう。国から支給される遺族基礎年金が見込めるなら、死亡保障もその分減額、あるいは解約をしてもよいケースがあるかもしれません。