食の都・香港では、中華料理に限らずあらゆる種類の料理が食べられる。高級料理だけでなく、若者に人気のハンバーガーまでも種類が豊富で、味わい深いものが増えているという。中でも、2013年10月に上環エリアの裏路地に登場した「LittleBao(リトルバオ)」は一風変わっている。

「LittleBao」はパンチが効いたベイビーのイラストが目印

中華風バンズ×和洋の具材

そもそも同店は、香港最大級の有機野菜マーケット(日曜市)「アイランド・イースト・マーケット」の小さな屋台から始め、満を持して店を出したというから味は保証済み。伝統的な中華バンズを使ったバーガーの人気に火が付いた。

手の平にすっぽり収まる真っ白なバンズは、子ども用みたいにかわいいサイズなのだが、味はグルメな大人もうなるほどの本格派。伝統的なバンズや味付けをベースとしながらも、アジアや欧米の味を織り交ぜた新旧合作というか和洋中折衷というか、もはやファストフードとはいえない驚きの連続なのである。

「LittleBao」の店内の様子

カット禁止、かぶりつきが鉄則!?

一番のおすすめメニューは「豚バラ(PorkBelly)」(78香港ドル=約1,030円)で、じっくりと蒸し煮した豚肉は簡単にかみ切れるほどやわらか。しそ漬けのオニオンが添えられ、かかっているのはなんとごまドレッシング! メインは海鮮醤を使ったケチャップソースで、全体的にはバーベキューソースのような濃いめの味わいになっている。

「PorkBelly」。地元の野菜のほか、成長ホルモンや化学物質を不使用の肉など、食材にもこだわっている

黒酢で焼いた「チキン(chicken)」(78香港ドル=約1,030円)は、「四川マヨ」に青唐辛子のせ、という辛さ好きにはたまらない味。白菜を使ったいうコールスローがいい感じに辛味をやわらげてくれる。

白菜のコールスローがチキンの上にのった「chicken」

具だくさんすぎて小さなバンズからはみ出そうなのだが、ここはナイフで切って、などとやぼなことは禁止。美しい料理ではあるが、バンズを上からぎゅっと抑え両手でしっかり持ってパクっといくのが、リトルバオ流とのこと。全ての具材が織りなすハーモニーを楽しむのだ。

夜はビート系音楽が流れる居酒屋に

カウンターのみというカジュアルさはさしずめ、西洋風の茶餐廰(食堂)のよう。昼間はこぢんまりとしたカフェのようだが、夜はビートのきいた音楽が流れにぎやかな中で食とお酒を味わえるそうで、「中国式居酒屋みたいなもの」なのだそうだ。

シェアリングという名のサイドメニューも盛りだくさん。アメリカの人気料理「Mac&Cheese」(108香港ドル=約1,430円)は、通常マカロニ(Macはマカロニの頭文字)を使うのだが、ここでは腸粉に明太チーズを合わせパン粉を乗せて焼くという、すっかりアジアンな料理に早変わり。ほかにも、天ぷらメニューや味噌ベースの料理など日本の味をアレンジしたものもあり、お酒のつまみにもおすすめだ。

キュウリ×ショウガ×ライムのフレッシュジュース(58香港ドル=約770円)や、柚子味のバーボンカクテル「Yuzu Leaf」(82香港ドル=1,080円)も

中から明太チーズがとろけてくるアメリカの人気料理「Mac&Cheese」

デザートにはぜひ、バンズが揚げたてで出てくる「LBアイスクリームサンドウィッチ」を(48香港ドル=約630円)

※1香港ドル=13.2円で換算。記事中の価格・情報は2014年6月取材時のもの