【レポート】

東京都の"招き猫発祥の地"である豪徳寺・自性院・今戸神社、猫はどう違う?

OFFICE-SANGA  [2014/07/22]

消費税が8%になってますます厳しいお財布事情。片手に小判、片手で福を招くという「招き猫」の力にすがりたくもなるというものだ。というわけで、招き猫の発祥の地を訪ねてお参りしようと調べてみたら、なんと東京には、世田谷の豪徳寺、浅草今戸神社、落合南長崎の自性院と、3つもの発祥の地があるのだった。一体全体、どこが違うの?

見よ、この数を! 豪徳寺招福猫奉納所に奉納された招き猫

数なら豪徳寺! 1,000体超の招き猫が鎮座

すごい!! びっくり仰天の光景が目の前に広がっていた。その数、おそらく1,000体を超えるであろう(数えきれない)大小さまざまな白い招き猫が、静かに鎮座している。ここは東京世田谷区の閑静な住宅地にある「豪徳寺」。木々の緑も豊かな広い境内には小鳥のさえずりが聞こえるばかり。心地よい静けさに包まれ、家族連れやカップルがのんびりと散策を楽しんでいる。

心地よい静けさに包まれた豪徳寺の境内

そんな境内の一角、本殿に隣接しては招猫観音(招猫観世音菩薩)を祀った招猫殿があり、その左手には招福猫奉納所なるスペースがある。木々の木漏れ日を受け、前記したよう1,000体を超えるほどの招き猫が安置されているのだ。豪徳寺の招き猫は、正式には「招福猫児(まねぎねこ)」と呼ばれ、願が成就したお礼に奉納されるよう。

豪徳寺は曹洞宗の禅寺で彦根藩井伊家の菩提寺であるが、豪徳寺という名前の由来も招福猫児の誕生秘話も、井伊家ゆかりのものという。江戸の初期、彦根藩主井伊直孝が鷹狩りの帰りに付近を通りかかると、寺の飼い猫が手招きをする。そこで直孝は寺で一休みすることにしたのだが、寺に入ったとたんにわかに空がかき曇り、激しい雷雨になった。

直孝は「猫が招いてくれたおかげでずぶぬれにならずにすんだ、縁起がいい」と喜び、これを縁に寺は井伊家の菩提寺となった。直孝の没後、直孝の院号「久昌院殿豪徳天英居士」にちなんで寺の名は豪徳寺と改められ、招猫観音が祀られて招き猫伝承も広まっていったのだそうだ。

さて、豪徳寺の招き猫をもう一度よく見てほしい。お気づきだろうか? 左手に小判がないのである。これは、金銭への執着を軽蔑する武家ゆかりの招き猫であるからとのこと。ちなみに、井伊家のあった滋賀県彦根市のご当地ゆるキャラ「ひこにゃん」は、この豪徳寺の招き猫がモデルになっている。

参拝受付所で販売されている奉納用の招き猫。左手に小判がないのにご注目

さて、豪徳寺には今も飼い猫がいるのだろうか? 豪徳寺の境内を巡って本物の猫はいないかと探してみたが、残念ながらその気配は皆無。代わりにいくつかの猫の置物があって、猫の寺の面目躍如としていた。

受付前に飾られた石の招き猫

こんなシャム猫風の置物も

豪徳寺の門前町ともいえる豪徳寺商店街にも招き猫があふれている。小田急線豪徳寺駅前には招き猫の像が立ち、商店街の看板は猫の肉球跡がシンボルマーク。さらに軒を連ねる商店も、猫グッズを販売したり、猫のお菓子を販売したりと、豪徳寺一帯はさながら招き猫タウン。ただ、本物の猫とは商店街でも出会うことはなかった……。

豪徳寺駅前に立つ招き猫の像

猫の肉球が商店街のシンボルマーク

焼き鳥屋さんも猫で客引き

雑貨屋さんには猫グッズがいろいろ

巨大さなら自性院! その大きさは1m

ところ変わって、こちらは新宿区落合南長崎の自性院。このお寺の招き猫発祥の由来は、豪徳寺よりさらに時代をさかのぼり、室町時代にあるという。

江戸城を最初に築いた武将として名高い太田道灌が、地元の豪族・豊島氏と争った江古田・沼袋原の戦い。その戦いで劣勢となり道に迷った時、道灌の前に一匹の猫が現れて手招きし、自性院に案内した。これを機に戦を有利に盛り返した道灌は猫地蔵を奉納、これをきっかけに自性院は招き猫の寺として広く知られるようになったと伝わっている。

残念ながら道灌が奉納したという猫地蔵は見られなかったが(猫地蔵は毎年節分の日だけに開帳される秘仏)、参道入り口の門柱上には体長1mを超えようかという巨大な招き猫の石像が立ち、威風堂々と睥睨(へいげい)している。こちら自性院の招き猫は招く手が左手で、豪徳寺の右手とは反対。右手には小判をがっしりと握られている。

招き猫の招き手の左右については、右手=お金を招く、左手=人を招くといった説もあるが、この説だと豪徳寺の猫が右手を上げているのはどうなんだろうと思うのだが、気になる方は是非調べていただきたい! 最近では外国にも招き猫が伝わっているが、欧米では相手に手を上げて手のひらを向けることは追い払うしぐさになるので、招き猫も手の甲を相手に向けている。

自性院参道入口の門柱に立つ左手をあげた巨大招き猫

女子人気なら今戸神社の招き猫

さて、最後は台東区にある「浅草今戸神社」。こちらの招き猫伝承はどうだろう。

江戸時代、この寺の界隈に住んでいた老婆が貧しさのために飼っていた猫を手放した。すると、夢枕にその猫が現れ、自分の姿を人形にしたら福運を授かることができると言う。老婆は地元の今戸焼きで猫の人形を作り、それを浅草神社の境内で売ったところ大評判となってお金持ちになった、めでたしめでたしというお話。

その今戸焼き発祥の碑が今戸神社の境内に立っている。このことから招き猫のルーツは今戸神社にあり、ということらしい。また、今戸神社は縁結びの神社としても名高い。未婚の女子を中心に連日多くの参拝客が訪れて、本殿中央に鎮座する2体の招き猫に手を合わせていた。ちなみに上げ手は右で、小判は持っていない。

本殿に鎮座する今戸神社招き猫。縁結びなので2体のつがいということか?

縁結び祈願の参拝女子がひきもきらない

招き猫が描かれ縁結び守りが人気

結局、いずれの寺社の招き猫が本当のルーツなのかは謎のまま。豪徳寺は1,000体を超す圧倒的な数で、自性院はその巨大な像で、そして今戸神社は縁結びとリンクした女子人気で、それぞれ「招き猫のご本家」を主張しているのであった。

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