廃止から約2カ月が経過したJR江差線木古内~江差間の廃線跡をたどる今回のレポート。前編では、旧江差駅から、天の川を渡る「天の川橋りょう」まで紹介した。後編は旧湯ノ岱駅から、北海道新幹線の建設が進む木古内駅までたどることにしたい。

旧湯ノ岱駅。列車交換が可能な駅だった

旧神明駅。駅前の踏切跡に柵が

旧湯ノ岱駅、駅舎はバスの休憩所に

湯ノ岱駅は江差線木古内~江差間で唯一2線あり(木古内駅は除く)、列車のすれ違いができた駅だ。運行当時は江差駅へ向かう列車の運転士が、駅員からスタフ(通票)を受け取り、折り返してきたときに手渡しで駅員に戻すという「スタフ交換」が行われていた。

旧駅舎は現在、バスのトイレ休憩所として利用されているようだ。JR時代のきっぷ購入窓口には板が打ち付けられているものの、駅舎全体はきれいに保たれている。近くに湯ノ岱温泉があることから、江差線に乗って温泉を楽しみに訪れる高齢者もいたと聞くが、今後はどうなっていくのだろうか?

ホームも待合室も残る旧神明駅

旧神明駅までの道は細く、住宅がぽつりぽつりと点在するものの、周辺は森の中といった風情だ。旧駅周辺ではいま、道道江差木古内線のトンネル工事が行われているため、土砂を積んだ工事車両が行き交う。

廃止される前の神明駅は、ホームの手すりに古くなったレールが再利用されて使われるなど、小さいながらも鉄道ファンにとって楽しみのある駅だったという。周辺の踏切は撤去されていたものの、信号などはまだ残されていた。

寺院の敷地内に江差線の線路があった!?

渡島鶴岡駅近くの禅燈寺は、山門と本堂の間に江差線の線路があり、列車が走る珍しいスポットとして、鉄道ファンに知られていた場所。神社や寺の敷地内に線路が引かれている場所は全国に数カ所あるというが、禅燈寺のように本堂に近い場所をレールが通っているのは珍しい。

禅燈寺の敷地内を江差線の列車が走っていた。線路も踏切も残る

渡島鶴岡は山形県鶴岡出身の庄内藩士が開墾した土地で、禅燈寺は山形善宝寺の流れを汲む。立派な仁王像が左右に屹立する山門をくぐると、かつての踏切までほんの数歩。旧江差線沿線では、ほとんどの踏切跡で線路を切断・撤去していたが、禅燈寺境内のレールは取材時にはまだ残されていた。

北海道新幹線の工事が進む木古内駅に到着

木古内駅周辺は北海道新幹線開業に向けての工事真っ只中。現駅舎とは反対側に新幹線駅舎が建設されている。

木古内駅。北海道新幹線の駅舎も建設が進む

現駅舎は新幹線開業後も、木古内町の商店街や市街地に面する南口として機能し、エレベーター・エスカレーターが設置されるほか、駅前には新たに観光交流センターが完成する予定だという。現在は町民の発案により、駅前に木古内の特産品やご当地キャラ「キーコ」のグッズを扱うアンテナショップが設置されている(5~8月末まで営業)。

木古内町役場に設置された「キーコ駅長室」

「キーコ」は、木古内町で生産されている「あか毛和牛」をモチーフにしたキャラクター。デザイナーの山本寛斎氏が代表を務める「KANSAI SUPER. STUDIO」がデザインを手がけたとのことで、意外にも都会派(!?)だ。役場には新幹線駅開業をPRする「キーコ駅長室」も設置されている。

「新幹線開業時には、木古内駅が玄関口となって周辺9町の観光の魅力をアピールしていきたい。そして、木古内自身も魅力ある観光財を築くことができたら」と話すのは、木古内町役場まちづくり新幹線課の浅見尚資氏。木古内町は江差線廃線後も、沿線自治体を含む周辺の町と手を携え、地域全体を振興しようとの気概と期待に満ちていた。