インターネットの普及が始まった当時の接続速度といえば、固定電話回線(アナログモデム)を利用して32kbps、64kbpsといったところ。デジタル回線(ISDN)で128kbpsも出れば御の字、このレベルの速度でインターネットを利用していた企業も珍しくない時代だ。

その頃重宝がられたのが「プロキシサーバ」。インターネットへの接続をプロキシサーバに限定することで、同じLANに存在する端末のWEBアクセスを一元管理できるからだ。さらに副次的効果として、WEB上のコンテンツなどをプロキシサーバがキャッシュすることにより、同じデータにアクセスしたときの速度が改善されるメリットがある。セキュリティの確保とレスポンス向上の一石二鳥、というわけだ。

しかしブロードバンドが普及し、スマートフォンでも数十Mbpsが当たり前という現在、プロキシサーバの役割は変化している。前述したアクセスの一元管理にくわえ、ウイルスなどマルウェア対策、特定アドレスへのアクセス禁止(URLフィルタ)といったセキュリティ目的で設置するケースがほとんどと言っていい。

個人ユーザであれば、「匿名プロキシ」などと呼ばれる公開プロキシサーバ(ユーザアカウントなしに利用可能)のニーズもある。公開プロキシサーバを経由すれば、完全ではないもののアクセス側の情報は隠ぺいできるため、個人情報が抜き取られるなどの懸念は低下する。海外に設置されたプロキシサーバを経由することで、日本からは利用できない(アクセス元の地域を判別して接続を拒否される)WEBサービスを使う、といった利用もされているようだ。

iOSでプロキシサーバを利用するには、Wi-Fiの設定にプロキシサーバの情報を登録すればいい。公開プロキシサーバの場合は認証が必要ないため、認証スイッチはオフのまま、ユーザ名/パスワードの入力も必要ない。なお、HTTPプロキシをオフにすれば情報は消えるので、もういちど利用するときは再入力が必要だ。

操作手順をカンタン解説

1 『設定』を起動し、現在接続しているWi-Fiアクセスポイントの「i」ボタンをタップして詳細画面を表示する

2 画面下のHTTPプロキシ欄で「手動」をタップし、プロキシサーバのIPアドレスやポート番号を入力する。公開プロキシサーバを利用する場合は、認証スイッチはオフのままにすること

(提供:iPad iPhone Wire)