6月25日にKDDI(au)が国内通話を定額で利用できる新たな料金プランを発表した。NTTドコモ、ソフトバンクモバイルに続き、これで主要キャリア3社すべての新料金プランが出揃ったかたちとなる。3社の新プランともに通話料は月額2,700円の定額で、データ通信費は容量によって段階的に料金が異なる仕様だ。

今回の新料金プランは「通話定額」のみが注目されがちだが、段階制のデータ通信料の内容もチェックしておく必要がある。各社の新料金プランはいずれも容量の上限が増えれば月額料金が増える仕組みとなっており、大容量のプランを契約すれば支払いも高額になるのだ。

Web閲覧やアプリなどスマートフォンを利用する上でデータ通信は必須。どうせ支払うなら安定した通信を利用したいものだ。そこで本稿では、顧客満足度に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D.パワー アジア・パシフィックが実施した2014年の日本におけるモバイルデータ通信サービス顧客満足度調査を参考に、各キャリアの通信環境について考えてみた。

au 2014夏モデルにはWiMAX2+を搭載

同調査は、データ通信専用端末(Wi-Fiルーター、USB端末、PCカード、Expressカード)の個人利用者を対象に、モバイルデータ通信サービスの満足度および利用実態を調べたもの。2014年4月にインターネット上で実施され、計3,500人から回答を得た。

まず同調査では、モバイルデータ通信サービス各社の顧客満足度について聞いている。結果はUQコミュニケーションズが提供する「UQ WiMAX」が2年連続で総合満足度第1位となり、次いでKDDI(au)で、NTTドコモ、イーモバイルの順。

総合満足度を構成するファクター(左)と顧客満足度ランキング

なお顧客満足度の測定にあたっては4つのファクターを設定し、それぞれに関連する詳細項目に対する評価を基に総合満足度スコアの算出を行った(1,000ポイント満点)。各ファクターの総合満足度への影響力は、「通信品質・エリア」(41%)、「各種費用」(27%)、「端末・オプションサービス」(21%)、「手続き・サポート対応」(12%)の順となっている。

モバイルデータ通信サービス各社の顧客満足度で昨年に引き続きトップとなったUQ WiMAXは「各種費用」「端末・オプションサービス」「手続き・サポート対応」の3つのファクターで最も高い評価を得た。ポイントに換算すると1位のUQ WiMAXは535ポイント、2位のKDDI(au)は526ポイント、3位のNTTドコモは517ポイントとなっている。調査の詳細はJ.D.パワーのWebサイトで確認できる。

今回のJ.D.パワーの調査はデータ通信専用端末の利用者を対象に行われたものだが、その結果はこれからスマートフォンの購入を検討しているユーザーにも是非チェックして欲しい内容と言える。というのも、auの2014年夏モデルで提供されるスマートフォン5機種「isai FL」「Xperia ZL2」「GALAXY S5」「AQUOS SERIE」「URBANO」とタブレット1機種「Xperia Z2 Tablet」は、今回の調査で満足度1位となったUQコミュニケーションズが提供する「WiMAX2+」と、2位のKDDI(au)が提供する「au 4G LTE」の両方に対応しているからだ。

ここでau 2014夏モデルに搭載されるWiMAX2+について少し触れておきたい。同サービスは、対応エリアにおいて下り最大110Mbps/上り10Mbpsの高速通信を実現。これまでもauではWiMAX対応スマートフォンを提供しており、同サービスではWiMAX通信を利用する場合はデータ通信費用とは別に月額500円支払う必要があった。しかし、WiMAX2+対応スマートフォンでは無料で利用することができる。追加料金が発生せず、同サービス対応の料金プラン「LTEフラット」の通信量制限(7GB)に加入するだけでWiMAX2+の高速通信も利用できるのだ。

UQとKDDI(au)で顧客満足度の1位と2位を分けあう、いわゆるワンツーフィニッシュの形となったJ.D.パワーの調査。前述の通り、auの2014夏モデルは「au 4G LTE」に加え、「WiMAX2+」にも対応している点が特徴だ。冒頭で触れた通り、各キャリアが発表した新料金プランは、大容量のプランを契約すれば支払いも高額になる仕様。どうせ支払うなら質の高い通信を利用したいもの。このような状況において、今回の調査結果はauにとって追い風となりそうだ。

ちなみに、秋に発売されると噂の新型iPhoneはWiMAX2+と互換性のある「TD-LTE」に対応すると見られている。こちらにも注目しておきたい。高評価を得たネットワークが新型iPhoneでも使えるとなれば、ユーザーのキャリア選択にも大きな影響をおよぼしてくることだろう。

(執筆:大石はるか)