携帯電話の大手3キャリアが提供する、新しい料金プランが出揃った。新料金プランは「音声通話(定額)+通信データパック」で計算される。従来のプラン「音声通話(従量制)+データ(定額)」とは全く異なる料金体系になるので、選び方には注意が必要だ。そこで、本稿では各社のプランを比較していきたい。自分の利用実態に合ったプランはどれか、選ぶ際の参考になれば幸いだ。

知らなきゃ損する! 新料金プランの違い

従来のデータ定額プランは、容量の上限が7GBで各社一律だった。そのため、多くの利用者は自分のデータ通信量を気にする必要はなかった。しかし、新料金プランでは使用するデータ容量ごとに定額料金が異なる。このため、容量を使い切れない大きなプランを選んでしまうと無駄になり、逆に容量の小さいプランを選んでしまうと、上限を超過した際に通信速度制限(下り最大128kbps)がかかってしまう。このあたり、細心の注意が必要なのだ。

それでは、各社が提供するデータ定額プランの容量(上限)のラインナップを見ていこう。まず、NTTドコモ「かけホーダイ&パケあえる」とソフトバンクモバイル「スマ放題」は共通で、2GB/ 5GB/ 10GB/ 15GB/ 20GB/ 30GB。一方、KDDI(au)「カケホとデジラ」は2GB/ 3GB/ 5GB/ 8GB/ 10GB/ 13GBだ。

NTTドコモ 「かけホーダイ&パケあえる」 2GB/ 5GB/ 10GB/ 15GB/ 20GB/ 30GB
KDDI(au) 「カケホとデジラ」 2GB/ 3GB/ 5GB/ 8GB/ 10GB/ 13GB
ソフトバンクモバイル 「スマ放題」 2GB/ 5GB/ 10GB/ 15GB/ 20GB/ 30GB

他の2社と異なるラインナップを用意したKDDIは、利用者が最も集中するデータ容量と予想される2GB~10GB付近が充実。データ容量の段階が細かく設定されており、一般的な各自の利用スタイルに合ったものが選びやすいよう配慮したかたちだ。

続いて、データ容量の上限と利用料金の関係をチェックしてみたい。まず、音声通話の定額料金だが、基本プラン(2700円/ 月)、ISP料金(300円/ 月)は3社とも同額。

続いて、各社すべてがラインナップする5GBと10GBデータ定額料金をチェック。5GBは3社ともに5000円だが、10GBの利用では、KDDI(au)とソフトバンクのプランがNTTドコモより1500円/ 月安い「8000円/ 月」で運用できる。

ただ、ソフトバンクの10GBのプランには思わぬ落とし穴がある。ソフトバンクのプランではキャンペーン適用時にKDDI(au)と同額の8000円になるのだが、このキャンペーンを使うと「家族シェア」ができなくなる(1人で10GBを使い切る必要がある)上に、3日間で通信量が1GBを超えると超過した翌日6時~次の日の6時まで速度制限がかかる仕組みなのだ。つまり1日平均333MBずつ使わないと、月間10GBを使い切ることができないようになっている。利用の際には、このあたりの仕様にも気をつけよう。

各社データ定額料金の比較表

このほかKDDI(au)のプランでは、固定通信とのセット割「au スマートバリュー」が利用可能。最大2年間1,410円の割引となる。これを適用させると、5GBでは3590円、10GBでは6590円となる。

au スマートバリュー適用時の料金プラン比較表

使い勝手が良いのはどのプラン?

最後に使い勝手という側面で、各社のプランをチェックしたい。まずNTTドコモとソフトバンクでは、家族とデータをシェアできるプランを展開する。利用者は料金プランの契約時に、個人で使うか・家族で使うか、あらかじめどちらかを選ぶ必要がある。データシェアを利用する場合、子回線1回線につき500円/ 月が必要だ。これに対し、KDDI(au)では「データギフト」を提供。個人・家族の区別なく、自由に無駄なくパケットを使い切ることができるようにしている。

このほかKDDI(au)では、データ容量を追加できる「データチャージ」を提供。有効期限は62日と長いが、NTTドコモ、ソフトバンクではデータ容量を追加購入しても、当月しか利用できない。加えて、ソフトバンクのデータ定額パック(5GB以上)では、使い切れなかったデータ容量を翌月に繰り越せるようになっているが、「家族データシェア」適用時には繰り越しできない。

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本稿では、大手3キャリアが提供する新料金プランについて比較してみた。筆者の印象としては、最後に新料金プランを発表したKDDIが最もユーザーフレンドリーなものになっていると感じた。今後の各社のサービス拡充などについてもチェックしていきたい。料金プランは、スマートフォンの使い勝手を大きく左右する。新プランへの移行時は、月々のデータ通信量を確認し、自分の利用スタイルに合った適切なプランを選びたい。

(執筆:大石はるか)