KDDIが「実人口カバー率」と表現しているのは、日本全土を500m四方の「メッシュ」で分割し、そのメッシュがどれだけエリアになっているか、という基準で算出されたもの。まず、500mメッシュ内の電波が届いている範囲と、メッシュ内にいる人口を割り出す。そして、メッシュ内の50%が圏内であれば、メッシュ内の人口の50%をカバーしていることにする、という算出方法だ。仮にメッシュ内の人口が100人で、40%が圏内になっている場合、90人が圏外の60%エリアに住んでいたとしても、カバー率としては40%、40人をカバーしている、と算出される(実際は人の多い場所がエリア化されるため、現実には起こりえない)。

ソフトバンクも、同様に500mメッシュの方式を採用している。ソフトバンクは現時点で算定方法を公開していないが、自社内の基準で一定のエリアをカバーした時点で、そのメッシュをカバーエリアとして算入している。

ちなみに、この500mメッシュは国勢調査で使われている2分の1地域メッシュで、メッシュ内の人口統計は、この国勢調査に基づいている。

統一された新たな算出方法

いずれにしても、三者三様の基準でカバー率を表現しているため、ユーザーにとっては混乱の元になっていた。ドコモの人口カバー率80%とKDDIの実人口カバー率80%を比べても、数字上は比較にならない、という状況だったわけだ。

こうした問題を受けて、業界団体の電気通信サービス推進協議会が策定したのが今回のガイドラインだ。もともと広告表示に関する自主基準とガイドラインで、今回の人口カバー率だけを定めたものではないが、今回の第10版で、人口カバー率の算出方式の変更が追記された形だ。

新たな算出方法では、ベースとなるエリアの算出をメッシュ方式とした。これは、総務省が「広帯域移動無線アクセスシステム高度化のための特定基地局の開設計画の認定申請マニュアル」で定めており、国勢調査に基づいて500mメッシュの人口が使用される。

新方式では、この500mメッシュ内の50%以上の場所が圏内になったら、そのエリア内の人口すべてが圏内になった、と判断する。つまり、50%を境に圏内か圏外か、0か1かが分かれる算出方法となった。