米HPは7月2日と3日の2日間、インドのムンバイにあるホテルにて、アジア・パシフィック地域のプレス向けイベント「HP APJ Media Summit 2014」を開催した。このイベントでは、米HPでAPJ(Asia Pacific and Japanの略で、日本を含むアジア地域)を統括する幹部に日本市場についてインタビューする機会を得たので、レポートする。

まずは、米HP APJでエンタープライズサービスを担当するシニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャのブルース・ダルクレン(Bruce Dahlgren)氏だ。

米HP APJでエンタープライズサービスを担当するシニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャのブルース・ダルクレン(Bruce Dahlgren)氏

ダルクレン氏は日本市場について、「APJのマーケットは1,250億ドルで、日本はその半分を占め、非常に重要だ。市場も非常に伸びている。日本市場は、クラウド、セキュリティ、ビッグデータに多くの予算を割いており、成熟している。また、東日本大震災の影響で、災害復旧に対して多くの需要がある。そのため、新しい製品を発表するのは、まずは日本からと考えており、市場的にも多くのチャンスがある。今後も投資やリソースの追加を行っていく予定で、したがって、日本HPにも多くのチャンスがある」と述べた。

また、日本においては日本のパートナーソリューション、グローバルパートナーソリューションのどちらを重視すのかという問いには、「HPは顧客の要求にこたえられるあらゆるソリューションがあるが、パートナーの立場に立ったエコシステムを構築することが重要だ。そのため、日本のソリューションを世界展開するのが望ましい。日本の3大キャリアであるNTTドコモ、ソフトバンク、KDDIはHPの優良顧客でもあるので、彼らのために料金請求のツールを提供した。こういった日本の成功事例を世界で提供したい。スマートメーターなどがいい例だだろう」と語った。

続いて話を聞いたのは、米HP APJ エンタープライズグループ シニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャのジム・メリット氏(Jim Merritt)氏だ。同氏は、今年の4月から前社長の小出氏の後を引き継ぎ、日本HPの社長執行役も兼務している。

米HP APJ エンタープライズグループ シニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャ 兼 日本HP 社長執行役 ジム・メリット氏(Jim Merritt)氏

同氏は日本市場について、「日本は重要な市場で、今はいい状態だ。そして、今後も成功していきたいと思っている。日本は我々の製品を早い段階から活用しているアーリアダプターだ。私はかつて日本デルの社長をしていたので、日本のビジネスについてはよく知っている。日本HPは人材やキャパシティにおいてもすばらしいものを持っている」と述べた。

日本のサーバ市場で注力するポイントはという問いには、「プライベートクラウド、ハイブリッドクラウド、パブリッククラウドなど、お客様には多くの選択肢を与えていきたいと思っている。HPは、OpenstackやHelionなどオープンなところに強みを持っているので、この部分で価値提案をしていきたい」と語った。

また、AWSなどのIaaS市場については、「AWSは競合だと考えている。日本ではいろいろなところからAWSという声が聞こえてくる。AWSのSMB市場は非常に伸びており、重要だと考えている。今後も注意して見ていく必要がある」と警戒感を示した。

ところで、HPは今年の5月に1万6,000人のリストラを発表しているが、そう意味で、HPはどういう状況になったら復活したといえるのかという問いに対しては、「ハードウェアの売上も伸びており、いままさに復活の最中にある。バランスシートを見ても非常に強力で、負債もなく、キャッシュフローも強力だ。イベントを行うと、お客様、メディア、アナリストからいいフィードバックがある。パートナーやお客様との関係も良好で、3年前から回復基調になっている」と回答した。

メリット氏は、HP入社以前はデルで13年過ごし、デル日本法人の社長を務めていた。さらに、デル入社前はIBMに15年間勤務しており、最後はサーバグループのマーケティング・戦略部門の副社長を務めていたので、同氏にHPとIBM、デルの違いは何かを聞いた。

「IBMとの違いはハードウェアということになる。IBMはハードウェアはコモディディ化しているということでサーバ事業をレノボに移している。HPはハードウェアやインフラに対して焦点を当てており、IBMはサービスやソフトウェアに焦点を当てている。それが大きな違いだ」

「デルとは2つの大きな違いがある。1つ目はHPはイノベーションエンジンが強く、そういう意味では、デルは後発だと思っている。HPはMoonshot、3PAR、Helionなど、ハードウェアやソフトウェアでもリーダーもあり、イノベーションエンジンを持っている。2つ目は、キャパシティの違いだ。ポートフォリオの面では、HPのほうが幅広く、深い。アジアにおいてはそう思っている。私はデルに13年いたが、デルには非常にキャパシティもあり、すばらしい競争相手だと思っている」と語った。