BI・データ活用ソリューション「Dr.Sum EA」やBI・ダッシュボード「MotionBoard」などを提供するウイングアーク1stでは、ビジネスに必要不可欠な最先端の情報活用術が学べる「情活塾」を定期的に開催している。そして今年も「社外×社内データの分析で変わる!ビジネスの『意思決定』~公共データ、第三者データ、社内データ資産…重ねて見える新しい事実~」をテーマに、名古屋・大阪・東京の3都市での「夏の情活塾」開催が迫ってきた。

7月16日に大阪のヒルトンプラザウエスト・オフィスタワーで開催が予定されているセミナーでは、基調講演で「オープンデータ超入門」の著書である国際大学GLOCOM 客員研究員 林 雅之氏が政府の取り組みや海外国内の事例を取り上げながら、今後の企業におけるオープンデータ利活用の可能性を、事例講演では、メディカルメーカーとして、独自技術を開発しているアルケア株式会社が生産現場におけるデータ活用のポイントを紹介する。

ここでは、「社外データ×社内データで新たな発見 意思決定の幅を広げる情活(R)環境の作り方」と題したセッションの概要を見ていこう。

現場の業務効率化に効く地図データ活用

ウイングアーク1st 営業本部 営業企画部 副部長 大畠幸男氏

「地図データおよびExcel、そしてテキストデータを活用した情報の見える化についてのご紹介がメインとなります」と語るのは、セッションで講演するウイングアーク1st 営業本部 営業企画部 副部長の大畠幸男氏だ。まず地図データに関しては、現在さまざまな分野で活用が進められているオープンデータの中でも、可視化という観点から特に有用で、なおかつ現場の効率化に役立つ要素といえる。

5月15日に登場した最新版の「MotionBoard Ver.5.0」と、これをベースとしたクラウド型BIダッシュボード「MotionBoard for Salesforce」では、この地図データがより簡単かつ使いやすくなるよう機能強化を実施。本セッションではMotionBoard for Salesforceを用いたエリアマーケティングや、マネージャが各営業担当者の無駄な動きを管理・改善できるような活用方法を解説する。

「SalesforceのデータをMotionBoard上に展開することで、今までデータとしては保有していても見えなかった部分が可視化でき、より良い形での営業活動が行えるようになります」と大畠氏は語る。

現場を支えるExcelとBIでのデータ活用の共存

Excelのデータ活用も、本セッションにおける重要なファクターだ。Excelは現場を支えるオフィスツールとして古くから使われており、企業内にあるExcelファイルの情報資産もかなりの数に上るだろう。最近ではデータ活用推進のため、ExcelからBIツールへと移行する企業も見られるが、大畠氏はこうした現状について「BIツールを導入するために、現場のExcel運用を止める必要はありません。弊社ではExcelでの作業環境をそのままに、情報の可視化と分析力アップを実現するツールをご用意しています」と語る。

このツールは、ユーザーがExcelファイルを保存すると自動的にデータをMotionBoardへ取り込んでくれるというもの。データの手動アップロードや、ETLツールを用いてBIデータベースへ保存するといった手間もかからない。

「現場の運用を変えてしまっては、オペレーションが変わり業務効率も落ちるため意味がありません。Excelが現場を支えているのであれば、その運用は変えずにマネジメントで求められる情報の見える化と融合する、というのがベストな形です」と大畠氏は語る。

テキストデータ活用で裏付けのあるアクションが可能に

最後のポイントは、テキストデータの活用だ。企業が保有するデータは、売上や原価など数値的に把握できる「定量データ」と、感情など数値化が困難なテキストベースの「定性データ」に大きく分けられる。

普段あまり意識することがないかもしれないが、定性データはどのような企業にも存在する。たとえば売上が低下した際の理由として、ある営業担当者は「この月は毎年、売上が落ち込むから」と考える一方、別の担当者は「競合他社の新製品が発売されたため」と分析する。これらは経験や勘に基づいたものだが、実は定性データを確認・分析するとデータとして裏付けられるのだ。

定性データは、営業日報をはじめとしたテキスト内に存在することが多い。先ほどの例では、売上低下の理由が実は大幅な値引きの影響だった、といったことも営業日報から導き出されたりする。そのほか、品質管理のデータから不良品数増加の原因を突き止めたり、Webサイトの問い合わせメールやフォームから得た消費者の声で新たなニーズを発見したりと、従来は経験と勘で語られていた事柄が、テキストデータの抽出・分析によって明らかになるわけだ。

しかし、これまでに蓄積された膨大なテキストデータを個別に読んでいくのは大変な手間と時間がかかる上、結局は感覚的で大まかな傾向しか把握することができない。そこでウイングアーク1stでは、テキストデータの分析に関して本格的な取り組みを開始。2013年9月より、Dr.Sum EAのオプション製品として、数値データとテキストデータのハイブリッドOLAP分析ソリューション「Dr.Sum EA TextOLAP」を提供している。

「売上や生産数などの定量データと、テキストの定性データを組み合わせることで、根拠に基づいたアクションが起こせるようになります。たとえば売上と予算のデータからKPIを設定しても、売上が伸びない理由は分かりません。そこでテキストデータの定量化・可視化により、裏付けのあるアクションが起こせるようになるわけです」と、大畠氏は定性データの重要性を語る。なお、セミナーではこうした定性データの分析について、より分析がし易くなる新機能の発表が行われる可能性もあるそうだ。

最後に大畠氏は「地図やExcel、そしてテキストデータは、使い方しだいで企業に大きなメリットをもたらしてくれます。今回のセミナーでは弊社の製品や事例を通じて、皆さんに新しい発見をしていただきたいですね」と、セミナー参加者への熱い想いを語ってくれた。 今回紹介した内容だけでなく、本セッションでは実際の製品を用いたデモやMotionBoard Ver.5.0の新機能解説なども行われるとのことなので、興味のある方はぜひ参加していただきたい。