【レポート】

"嘘から出たまこと"で誕生した宮城県の「仙台マーボー焼そば」って?

OFFICE-SANGA  [2014/06/28]

宮城県に新しいご当地料理が誕生しつつある。その名も「仙台マーボー焼そば」。焼そばに麻婆をかけた合わせ技料理で、いまや県内43もの中華料理店が「仙台マーボー焼そば推進委員会」認定の自慢の焼そばをメニューに加えているが、実はこのご当地料理、誕生の裏側に"嘘から出たまこと"の面白いエピソードが潜んでいる。

店のまかないから生まれた「まんみ」の仙台マーボー焼そば(800円・税込)

きっかけは某人気番組での誤り

それは2013年3月のことだった。あるテレビのバラエティー番組が、仙台市の中華料理店「まんみ」のメニューであるマーボー焼そばを取り上げ、「宮城県民がこよなく愛するマーボー焼そば、仙台市民はみんな食べている」などと紹介した。しかし、この紹介はいささかおおげさであった。というよりは、ほぼ嘘。取材を受けた「中国菜館 まんみ」の大柳憲太郎社長は語る。

「マーボー焼そばはもともと店の"まかない"として食べられていたもので、常連客などに評判が良かったものですから1970年代からメニューに加えていました。でも、出るのは1日にせいぜい1、2食。それがテレビで宮城県人なら誰でも知っているみたいに紹介されたので、もうびっくりでした」。

「まんみ」のほかにマーボー焼そばを提供する中華料理店は数店あったらしいが、いずれにしろ超マイナー料理。テレビ放映後にはツイッターなどで、「そんな料理は聞いたことがない」などという書き込みが相次いだ。その一方で、仙台市内の中華料理店では「マーボー焼そばをください」というお客からの注文が殺到。

「仙台マーボー焼そば」の認定フラッグ

そんな事態に、宮城県中華飲食生活衛生同業組合は対応を迫られた。テレビの紹介の仕方を問題視する声が上がる一方で、「食べたいというお客がたくさんいるのなら、いっそのことマーボー焼そばを本当に宮城県の名物料理にしてしまえばいいのでは?」という前向きな意見も登場した。

喧々諤々(けんけんがくがく)の議論の末、2013年5月、組合の若手を中心に「やってみよう」ということになった。その後、「まんみ」の大柳社長を委員長に「仙台マーボー焼そば推進委員会」を発足させて、マーボー焼そばのご当地料理化作戦に打って出たのである。

委員会では、1)麻婆を使い、具は豆腐に限定しない、2)麺は焼くか揚げたものとする、3)組合の認定人・Mr.Chinが認定したものとする--の3つをルールに、組合加入の中華店に各店ごとの「仙台マーボー焼そば」の創造を促した。

「2014年5月の段階で、仙台マーボー焼そばの認定店は県内で43店(うち仙台市が39店)に達しました。認定とは別に、マーボーをかけた焼そばを提供している組合未加入のお店もあるようです」(宮城県中華飲食生活衛生同業組合・久保田知恵さん)。

この間、仙台市が地元のおいしいものをPRしていく「伊達美味(だてうま)」事業に認定されるなどもあり、仙台マーボー焼そばは着実に宮城のご当地料理へと歩み始めたのである。まさに"嘘から出たまこと"である。

試食発表会には独眼竜・伊達政宗も登場

●infomation
まんみ泉中央店
仙台市泉区泉中央1-22-3

具は豆腐、ナスの定番から海鮮までと様々

さて、「麻婆を使い、具は限定しない」という緩やかなルールから、県内43店の「仙台マーボー焼そば」の麻婆のバリエーションは、豆腐、ナスの定番から海鮮などまである。また、仙台味噌を味付けに使用するものや辛さを強調するものなど、各店それぞれ創意工夫を競っている。

例えば、「中国料理 豊園」の「マーボー焼そば」(800円・税込)は、仙台味噌を使ったまろやかな味付け。「中華の棒棒」では麻婆ナスバージョンの「マーボー焼そば」 (900円・税込)を提供しており、仙台駅前の老舗中華「口福吉祥 喜喜龍(シーロン)」では、辛みの強い四川風が特徴の「マーボー焼そば」(ランチ1,080円・税込)を提供している。

認定人のMr.Chinは語る。「認定審査に当たっては、味や見た目はもちろんですが、マーボー焼そばへの店主の思いや情熱も評価基準にしています。それから、発展性といいますか、新しい美味が生まれる可能性も大切にしたいと思っています」。

「中国料理 豊園」のは、仙台味噌を使ったまろやかな味付け(800円・税込)

「中華の棒棒」では麻婆ナスのバージョンに(900円・税込)

「口福吉祥 喜喜龍」の「マーボー焼きそば」(ランチ1,080円・税込)は四川風

●information
中華の棒棒
仙台市青葉区落合1-17-35

口福吉祥 喜喜龍
仙台市青葉区中央1-2-3

こうしてすっかり仙台市民の間に根づいた「仙台マーボー焼そば」は、ご当地グルメとして他県からの客を呼込むほどにもなっているそうだ。そして、「かつては1日1、2食しか出なかったのが、今では10食以上出ます。土日だと20食は超えますね。うちはサッカー場の近くにあるので、ベガルタ仙台戦に来るアウェーチームのファンがよく食べにきてくれます」(前出「まんみ」大柳社長)という声もある。

さらに、未来へのさらなる足取りも。前出の久保田さんによれば、近々にコンビニ店で仙台マーボー焼そばのお弁当が発売される予定とか。また、関連商品の企画もいろいろと進行中とのこと。嘘から出たまことも、ここまで来ると立派である。

※記事中の価格・情報は2014年5月取材時のもの

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