ヴェルトは6月23日、スマートフォン偏重な生活をリバランスするという日本発のスマートウォッチ「VELDT SERENDIPITY」(ヴェルト セレンディピティ)を発表した。出荷は12月を予定しており、同日よりWebサイトで先行予約を受け付けている。

価格(税別)は、プレミアムモデルとなる「VELDT SERENDIPITY モデルR」が148,000円、カラーバリエーションが豊富でカジュアルなモデルとなる「VELDT SERENDIPITY モデルC」が78,000円だ。対応OSはiOS 7以降で、端末側に専用アプリをインストールして利用する。

写真左は、VELDT SERENDIPITY モデルRより「Ripplet」。写真右の左から、VELDT SERENDIPITY モデルRの「Silky Ice」、VELDT SERENDIPITY モデルCの「Rich Violet」、VELDT SERENDIPITY モデルRの「Ripplet」。いずれも量産試作品とのことだが、すでに素晴らしいできばえだった

製品ラインナップとバリエーション

発表会も開催され、ヴェルト代表取締役CEOの野々上仁氏がプレゼンテーション。「本当はスマートウォッチと呼びたくなくて……反対のコンセプトを持っているので『ウォッチ スマーター』と呼ぼうかなと」と語りながら、VELDT SERENDIPITYに込められた想いやコンセプトを述べた。

ヴェルト代表取締役CEOの野々上仁氏

技術との付き合い方や、ネットワークがもたらす負の側面をリバランスしたい。そのためのウェアラブルなガジェットとして誕生したのが「VELDT SERENDIPITY」だ。今の時代を生きる人々は、日々様々な情報の荒波に揉まれている状況なのは、読者の皆さまも実感できることだろう。

情報過多とならないよう、また、視線をスマートフォンに奪われ過ぎないようにしたい。

そんな想いをベースに、大量の情報から真に必要な情報のみを取捨選択してユーザーへと伝える「Less is More」が、VELDT SERENDIPITYの発想だ。これを実現するためVELDT SERENDIPITYでは、オーソドックスでシンプルな文字盤に配された24カ所のLEDからなる「Vivid Loop」と、電光掲示板を彷彿させる小型ディスプレイを活用しているのが特徴的。

VELDT SERENDIPITYはスマートフォンとBluetooth 4.0 Low Energyで通信し、メールやSNS、着信履歴といったiOSの通知センター情報、スケジュール、天気予報やコンパスなど情報をシンプルに表示できる。

情報を取捨選択することで、時間に余白を生み出す手伝いをしてくれる「VELDT SERENDIPITY」

Vivid Loopと電光掲示板を彷彿させる小型ディスプレイによる、情報表示やスマートフォン連携をデモンストレーションする野々上氏

写真では見えにくいかもしれないが、こちらはスケジュールを表示したところ。盤面のLEDが時間帯を、小型ディスプレイで端的にスケジュール件名のみ表示してくれる

こちらは天気予報を表示したところ。LEDの色によって、晴れ・曇り・雨を表現。小型ディスプレイには、降水確率などが電光掲示板のように表示される

時計のフェイス部分の11時と5時の位置に、物理ボタンを配置している。各ボタンを押すことで、どの情報を表示するかをカスタマイズ可能だ

アクティビティトラッカーとしての機能も

時計本体に組み込まれた各種センサーを利用して、運動量や睡眠量を自分のスケジュールと合わせてグラフ表示できるiOSアプリ「VELDT Life Assist」は、健康に気を配る方にとって魅力的に映ることだろう。最近では、リストバンド型や腕時計型の活動量測定ガジェットが人気を集めているが、常に身に付ける腕時計ひとつで測定可能という優位性は評価に値する。

アクティビティトラッカーとしての機能を解説する野々上氏。消費カロリーや歩数などをVELDT SERENDIPITYで計測可能

運動量をスケジュール上に透過して表示。何気ない機能だが、どの行動(予定)がどれだけの運動を必要としたかが一目瞭然だ。とても面白いし、新たな気付きにつながりそう

さらに発表会で明かされたのが、日本交通とのコラボレーションだ。ビジネスパーソンに嬉しいサービスを、VELDT SERENDIPITYの発売と同時に提供する予定とのこと。具体的には、VELDT SERENDIPITYを使って、登録地点へのタクシー配車サービスを利用できるというものだ。ローンチ当初は東京地区のみでの運用となるが、今までにない新たなウェアラブルのカタチを予感させてくれる。

スマートフォンでタクシーを呼ぶ時代から、時計でスマホを呼ぶ時代へ。2020年にはそんな姿が当たり前になっているかも

「SERENDIPITYとこれからのライフスタイル」についてのトークセッション

プレゼンテーション後は、「SERENDIPITYとこれからのライフスタイル」についてのトークセッションが設けられた。ゲストは、VELDT SERENDIPITYのコンセプトワークやデザインワークを担当したtakram design engineeringの田川欣哉氏、渡邉康太郎氏、写真家としてもクリエイターとしても知られる桐島ローランド氏、そしてフリーアナウンサーの有馬隼人氏だ。

ゲストを交えてのトークセッション

生き方というレベルで、格好いい、エレガントだ、と思えるような価値観を、このプロジェクトで提案したかったと述べた田川氏。コンマ何ミリの世界での調整など、細かなこだわりが随所に息づいているという

西洋らしさと東洋らしさが盛り込まれた、六角形のモチーフがVELDT SERENDIPITYのデザインにも活かされていると渡邉氏。フラッグシップモデルのVELDT SERENDIPITY モデルR「Ripplet」の文字盤にも、六角形が見て取れる

この素晴らしいコンセプトをどう表現して伝えるか、と桐島氏。頭の中にイメージされたという「ナミビアの砂漠でジョージ・クルーニーみたいな男が歩いている」映像が、ひょっとしたらコンセプチュアルムービーとして公開されるかも

もっと自然を五感で感じられる生活を、自然の中で得られるインフォメーションを大切に生きる。その助けになる「Less is More」を体現したVELDT SERENDIPITYに共感すると語る有馬氏。スマートフォンに集中しすぎた人物の悲しいエピソードも語ってくれた

スマホに奪われていた視線や時間を解放、ふとした偶然から新たな気付きを

「セレンディピティ。スマートフォンを見ないことによって、新しい思いがけない発見をする。ある種のイノベーションが、幸せが、誰かを助けることが、可能になるかも知れない。VELDT SERENDIPITは製品であると同時に、我々からの問い掛けである」と締めくくった野々上氏。情報の海に溺れたくない、情報過多による気疲れから解放されたい。そういった想いや悩みを抱えた人に、ぜひチェックしてもらいたい。