内蔵ストレージが32GBで、専用の4つのカメラ/赤外線LEDが必要なDynamic Perspectiveセンサを搭載しながら199ドル(サービス2年契約)なのだから、十分に安いと言えるが、機能・品質と価格のバランスで勝負するのはApple流だ。一般消費者が手を伸ばす価格や条件を先に設定し、そこを目指して、無理だったら出血覚悟で提供するのがAmazon流だったはず。今回AT&Tが独占提供キャリアになっているが、そのメリットも見当たらない。

デジタルコンテンツを楽しむためのAmazonスマートフォンだから、ストレージは32GBから

ただ、Amazonが電子書籍端末の普及を試みた時とスマートフォンでは事情が異なるのも事実だ。電子ペーパー版のKindleで同社は3G対応版のデータサービスを無料にした。その時のAmazonの敵は「紙の本こそ書籍」という人々の常識だった。そこで古い市場を破壊し、電子書籍のある新たな市場の構築を試みたのだ。しかし、スマートフォン市場はAmazonにとって破壊の対象ではなく、エコシステムである。生態系を崩すように乱暴に入り込むのではなく、Fire Phoneではじっくりと長い時間をかけて浸透しようとしているのだろう。