続々と低コスト航空会社(以下、LCC)が誕生していると思いきや、パイロット不足で便数は減る傾向。スカイマークのミニスカやANAの外国人デザイナーを採用した今までにない感じのデザインなど、新しい制服も何かと話題だ。そんな今日の航空業界を知るために、これだけは知っておきたいキーワードが3つある。

エアバスA330型機のコクピット

LCCのトラブルはパイロット不足が原因

2012年3月の就航以来、順調に路線と便数を増し続けてきたピーチ・アビエーション(以下、ピーチ)がこの夏、運航を予定していたうちの2,000以上の減便を予測している。その後、バニラエアも6月までに154便を欠航させ、今月27日から運航開始を予定していた春秋航空日本も就航日を8月1日に延期した上に、一部路線を減便すると発表した。

LCCはここ2年くらいで爆発的ともいえる勢いで便数を増やしてきたが、その勢いは一気にしぼんでしまった。減便や就航延期の理由はいずれも機長(以下、パイロット)不足だが、背景には様々な事情がある。

ピーチの場合、運航を始める2年前に経営破たんしたJALなどから退役パイロットを採用したが、高齢化により身体検査の基準をクリアできないパイロットが予想以上に出てきた。また、同業他社からよりよい採用条件で引き抜かれるパイロットも少なくなかった。

バニラエアも、同社に100%出資しているANAがパイロットを出向させて急場をしのいでいる状態であり、多くのLCCが同じような問題を抱えている。なお、大手航空会社は雇用条件がLCCよりもよく、特に日本のJALとANAはLCCの2倍以上の年収があるため、今のところは問題なく運航を続けている。

様々な対策も間に合わず、続く引き抜き合戦

そもそもパイロット不足はかなり以前から問題になっていた。そのため、60歳以上のパイロット2人だけでの運航を認可したり、身体検査の基準を緩めたりなど、国土交通省も様々な対策を講じてきた。それでも間に合っていないのが現状だ。

やや有利な立場にあるのはジェットスター・ジャパン。パイロット不足による減便は今のところ表面化しておらず、LCCとはいえ10年の運航歴があり規模も大きいジェットスター航空を親会社に持つため、パイロットの融通もある程度はきく。ただ、アジア・太平洋地域では今後20年間に約20万人のパイロットが必要になると予測されている。いずれにしろ、パイロット不足は早期に解決できるような問題ではない。