三菱電機は6月12日、キッチン家電などBtoC向けブランドの新戦略発表会を開催。同社常務執行役でリビング・デジタルメディア事業本部長の杉山武史氏が登壇し、BtoC向け製品の今後の戦略について説明した。三菱電機は6月12日、キッチン家電などBtoC向けブランドの新戦略発表会を開催。同社常務執行役でリビング・デジタルメディア事業本部長の杉山武史氏が登壇し、BtoC向け製品の今後の戦略について説明した。

同社はBtoC事業の国内統一宣伝キャッチフレーズ「ニクイねぇ! 」を採用し、6月13日から放映を開始するテレビCMをはじめ、各種広告媒体でこのキャッチフレーズをもとにブランドのイメージ戦略を展開していく。また、調理家電4製品の展示、デモンストレーション体験会も行われ、発表会に招かれた多数の主婦ブロガーが参加した。

BtoC新ブランド戦略について語る、三菱電機常務執行役でリビング・デジタルメディア事業本部長の杉山武史氏

発表会冒頭に登壇した杉山氏は、「これまでの製品訴求は、メーカー視点からの機能性を重視していた。しかし、これからは生活者の共感・実感を得る生活者視点での製品訴求をしていきたい」と同社のBtoC事業のブランド戦略を一新する方針を表明。その上で、「"ニクイねぇ! "というのは、スゴイ! いいね! を超えた消費者の共感・実感を表現した言葉だと説明した。

また、新CMでは引き続きモデル・女優の杏さんをメインキャラクターに起用することを発表。さらに新シリーズからは、夫役にお笑いタレント・オードリーの若林正恭さんを夫役に、女優・声優の戸田恵子さんを義母役に加え、家族を中心としたストーリー仕立てのCMで各種製品の訴求を行っていくとした。この他ブランドロゴも順次新しいものに統一していくという。

「ニクイねぇ!」の新キャッチフレーズに加えて、ブランドロゴも順次統一が図られる

一方、事業展開については、国内市場のBtoC事業にも注力していく方針を表明。杉山氏は「昨今の電機業界のトレンドはBtoB事業、グローバル市場への重視傾向にあるが、国内市場は高齢化など多くの課題を残す今後の市場動向を探る上で最先端の市場でもある。国内市場にまず注力することが、その先のグローバルな競争力にもつながる」と述べ、消費税増税に伴う需要減に対しても早期回復に向け、攻めの姿勢で業界をリードしていきたいと力を込めた。

杉山氏のプレゼンテーションの後、"食"をテーマとしたトークセッションが行われ、フリーアナウンサーの本田朋子さん、料理研究家のコウ静子さん、常務執行役 リビング・デジタルメディア事業本部 副本部長の永友秀明氏の3名が登壇した。

左から本田朋子さん、コウ静子さん、永友秀明氏

プロバスケットボール選手である夫の健康管理や栄養バランスを気にしているという本田さんが「オススメのメニュー」について聞くと、コウさんは、「これから夏にかけて暖かくなるので冷たい料理が食べたくなる。だが、冷たい料理は体が冷えてしまい、胃液が薄まり代謝が悪くなる」と指摘。疲れを取る効果もある「かぼちゃや豚肉、鶏肉などを使用した暖かなスープ」を薦めた。また「お米の炊き方」を勉強したいという本田さんに対し、永友氏が20種類のブランドのお米を炊き分けることができる三菱電機のジャー炊飯器をアピールした。

なお発表会場には、「キッチン家電オープンハウス」と題した、製品展示とデモンストレーションステージが併設。主婦のライフスタイルにマッチするよう考えられた同社の冷蔵庫、IHクッキングヒーター、ジャー炊飯器、レンジグリルの最新機種を揃え、機能や性能、製品コンセプトなどを担当者が解説した。

人だかりができたデモンストレーションステージ。主婦ブロガー達が熱心に解説を聞いていた

展示コーナーで特に目を引いたのが、同社のデザイン研究所で取り組んでいるデザインコンセプトのモックアップ。欧米の白物家電メーカーによるデザイン性の高い商品が昨今日本市場で大いに受け入れられているなか、日本メーカーとして考える最新のデザイン家電のコンセプトモデルがお披露目された。

モジュール調理家電のコンセプトモデルのモックアップ。左から炊飯器、オーブンレンジ、トースター、コーヒーメーカー。実用化までには、各器具の高さや奥行きを揃えるのが大きな課題とのこと

「扉を開けたとき楽しくなるような冷蔵庫が欲しい」という主婦の声をもとに開発されたデザイン冷蔵庫のモックアップ

おいしそうに見せ、食べたくなるような食材の"魅せ方"に着目し、ケーキ屋さんのガラスケースのようなチルドルームに

5分割のコイルにより生み出される3方向の対流で、かき混ぜや吹きこぼれを抑える様子を体験するIHクッキングヒーターのカットモデル

機能面での訴求では、IHクッキングヒーターの新製品「CS-PT31HNWSR」が注目を集めた。5分割にした独自技術のIHコイルを採用することで、IHの熱源を強さだけでなく位置まで細かく制御。これにより、鍋などの調理器具の内部に複雑な対流を生み出すことが可能で、自動でかき混ぜる効果や、茹でる調理の際に吹きこぼれを抑えることができる。同社は、共働きの増加などにより今後ますます家事の時間が減少すると予測。家事を家電やアウトソーシングに頼る「ほったら家事」の流れに合う、とアピールした。

また、冷蔵庫の新製品として6月27日に発売予定の「MR-WX71Y」を展示。最近の主婦の生活を、「時間なし、食費や食材のムダなし、ママ友会などおもてなしの機会が多い、いわば三なし状態」と分析したうえで、その風潮にマッチすると解説した。冷蔵庫は幅を80センチ以内に抑えながらも業界最大容量の705Lを実現した商品で、生鮮食品用とその他チルド向けの食品用に横幅いっぱいの引き出し上のチルド室を上下二段に備えているのが特徴だ。さらに、同社の冷蔵庫としては初のガラス面材を採用している。

業界最大容量の705Lの冷蔵庫を紹介するデモンストレーション

生鮮食品向けの専用のチルドルームを下段に設け、2段でたっぷり収納できる新製品

新搭載の"氷点下ストッカー"(右)では、チルド室より低温の約-3°C~0°Cながら凍らせずに食材を保存するため、冷凍時の細胞破壊がなく、変色やドリップの流出を抑えられる

このほか、IHジャー炊飯器では6月21日発売の新商品「蒸気レスIH 本炭釜 NJ-XW105J」、既に発売中のレンジグリル最新製品「ZITANG RG-GS1」が紹介された。

全国の20銘柄のお米をそれぞれに適した炊き分けができる"銘柄芳潤炊き"モードなどを搭載したIHジャー炊飯器の新製品のデモンストレーション

釜底が10ミリに厚くなり、発熱体積が広がりより激しい沸騰対流を生み出すことができるようになった内釜(右)

(執筆:神野恵美/マイナビニュース編集部)