育児休業給付金をアテにしていても、受け取れるのは出産から4~5カ月後……

育児休業を取得するにあたって、育児休業給付金が支給されることは既報の通り。しかし、実際に受け取れるまでには出産してから4~5カ月もかかり、それまで家計のやりくりをどうすべきかを考える必要がある。今回は、ファイナンシャル・プランナーの伊藤亮太さんに、産休・育休前に貯めておきたい目標貯蓄額を教えていただいた。

のしかかる住民税の支払い

旦那さんの収入だけで十分生活ができ、旦那さんが育休を取得されないのであれば、特に家計のやりくりを考えなくともなんとかなるといえます。ただし、その際にも注意しなければいけないのは、奥さんにかかってくる住民税ではないでしょうか。

住民税は、前年の収入に対してかかるものなので、出産や産休・育休にかかわらず、どうしても支払いを行う必要がでてきます。そうなると、「毎月数万円の出費、困った」と思われるかもしれません。しかしながら、特例があり、育児休業期間中1年以内に限り、住民税の徴収が猶予される仕組みがあります。これは、育休を取得する本人が居住する各市町村にて申請、適用されれば、職場復帰してからの支払いで済むようになります(ただし、職場復帰後に延滞金とともに納税することになります)。

その他、健康保険や厚生年金保険に関しては、事業主が申し出ることによって育休中は支払いが免除になりますので、特に考える必要はありません。

このように見ていくと、旦那さんの収入のみで十分な場合には、特に生活に困ることはないでしょう。

一方、2人で育休を取得する場合。男性は奥さんの出産日当日より育休取得が可能であるため、この場合には奥さんよりも2カ月早く給付金を受け取ることが可能となります。そうなると、最初の2~3カ月間をどう乗り切るかがやはり重要となってきます。

一般に、育児休業の時のみならず、何かあった場合にそなえて貯蓄をしておきたい金額は、毎月の給料の手取り金額×6カ月分になります。これは失業や万一に備えた金額ともいえますが、手取り金額の6カ月分あれば育休中も乗り切ることは可能といえます。2人で休む場合にはそれぞれの金額を算出し、貯蓄しておくべきでしょう。

ただし、自営業や専業主婦で国民健康保険に加入している場合は、育児休業給付金は支給されません。旦那さんの収入ではカバーが難しい場合に備えて、さらに多い金額、できれば毎月のおおよその手取り金額×1年分は貯蓄をしておくべきといえます。