2014年5月10日に講談社にて、理解力、指導力、創造性など、数学の総合的な能力で勝負し、数学の最強チームを決定する年齢不問の祭典、「第4回 日本数学オープン」が日本数学オープン実行委員会の主催のもとに開催された(画像1)。大学生や社会人、中にはスーパー小学生も参加し、数学好きがチーム戦で覇を競ったその祭典の模様をお届けすると同時に、問題と解答も掲載する。数学が得意という方も、得意というほどではないけど数学の問題を解くのが好きという方も、ぜひ挑戦してみてほしい。

画像1。今回は16チーム計48人が参加し、数学の問題に挑んだ

数学で競うのではなく、数学を楽しんでもらうための競技会

日本数学オープンは現時点では個人戦ではなく、3人1組のチーム戦で行われる。数学最強チーム決定戦、というわけだ。今回は16チームが参加した。チーム編成は、あらかじめ仲間3人で参加してもいいし、個人でも参加可能だ。個人の場合は、当日、同じように個人ばかりの人を集めたチームなどに加えられる形となる。

ちなみにチーム戦ということでチーム内に数学の猛者が1人いれば上位を狙えるかというと、そうとは限らない。もちろん数学の猛者がいることが有利なのは間違いないのだが、やはり3人そろって優秀な方が、予選でより得点を伸ばせるので、決勝に進出するにはやはり3人ともにある程度以上の力が必要とされるのだ。

では、数学が得意な人じゃないと参加できないかというと、それもまた異なる。大会自体、まだ歴史が浅くて、手作り的でアットホーム感あふれる雰囲気も手伝っているのだが、「数学が好き」であれば十分参加して楽しめる大会となっているのだ。高校や大学の受験などで出題されるような、純粋な数学問題が出題される一方で、数学要素のあるパズルという雰囲気のものもあるし、決勝に進むと発想力や推理力、想像力なども求められるので(少なくとも今回はそうだった)、数学を解く力が仮にあまりないとしても、それ以外の能力があれば十分チームに貢献できる可能性があるのだ。

というわけで、大まかな大会の流れを説明すると、第4回では、第1ステージ(60分)、第2ステージ(40分)が予選ステージという形で、そこで数学の問題を解き、メンバー3名の得点を合計したチームの総合得点の高い上位3チームが決勝ステージ(作戦タイム60分+プレゼンテーションタイム30分(プレゼンタイムは各チーム10分))へと進む形となる。

第1ステージは、20問の純粋な数学の問題と、1問のパズルに近い図形問題を解くのだが、チームのメンバーで協力しながら解いて良いというところがポイント。よって、第1ステージは数学の猛者が1人いれば、全員で高得点、なんてことも可能である(ただし、他チームの選手がすぐそばで解答しているので、うまく説明しないと聞かれてしまう可能性がある)。

問題を作成したのは、同大会を後援している団体・企業の1つ、公益財団法人 日本数学検定協会だ(講談社の理系女子応援サイト「Rikejo」も後援しているので、会場が講談社なのである)。第1ステージの20問の数学問題は、実際にダウンロードして見てもらえればわかるが、関数の因数分解とか2次方程式に関する問題、図形の角度に関する問題、組み合わせなどだ(画像2)。学生時代に理数系だった人であれば、卒業してから仮に何十年と経っていたとしても、「そういえば、こんなのあったなぁ!」となるものばかりである(大学レベルに含まれそうな少し難しいものも含まれるが、基本、受験勉強している理数系の高校3年生ならそれなりの数の問題を解けるはずだ)。点数は、1問5点で、すべて正解なら100点というわけだ。

第1ステージのもう1つのパズル風味の図形問題は、正六角形を平面上に並べたハニカム構造が描かれた解答用紙(正確には、すべてが正六角形1個ではなく、複数がつながった大きくなったものも多数ある)を、ルールに従って3色で色塗り(色分け)するというもの(画像3)。色の塗り方は、隣り合う図形は同じ色で塗ってはいけないというもので、最終的にどうしても塗れない白色部分が出てくるので、その少なさ(白い部分の面積の小ささ)を競うというわけだ。点数配分は、最も白い面積が小さいチームが100点。2位90点と、順位が1つ下がると10点ずつ減っていき、10位が10点、11位以下は0点という具合である。

画像2(左):第1ステージの数学問題20問は、こんな正統派の数学の問題が出題された。画像3(右):色塗り問題。六角形のマス(複数のマスがくっついた大きなものも多数)を、隣接するマス目は同じ色にならないよう、3色で塗り分けていく

問題を記したPDFは下記からダウンロード可能だ。なお、パスワードがかかっているが、最後のページとなる4ページ目に用意した解答も含めて本記事でダウンロードできるPDFはどれも「op4th20140510」で開くことができる。

第1ステージ数学20問(画像のクリックでPDFの表示が可能)

第1ステージ正六角形色塗り問題説明文(画像のクリックでPDFの表示が可能)

第1ステージ正六角形色塗り解答用紙(画像のクリックでPDFの表示が可能)