インターネット固定回線は、今のところ国内の多くの地域で、最大でも100Mbpsの光回線が主流だ。1Gbpsの速度で提供しているプロバイダーもいくつかあるが、まだ利用可能な地域は限られている。そんな中、2013年4月にソネットがサービスを開始した「NURO 光」は、1Gbpsさえかすんでしまう下り最大2Gbpsを実現したとして話題になっている。

NURO 光の回線工事がやってきた

サービス提供エリアは関東の1都6県と決して広くなく、回線を引ける条件もある程度絞られるけれど、しばらく前に中古一戸建てに引っ越した筆者宅が条件に当てはまったのと、なにより「世界最速」を自宅で体感できるということで、申し込んでみたのである。今回はその回線工事の様子をレポートしてみたい。

接続設定のサポートもついてくる安価な光回線

念のため改めて説明すると、NURO 光はソネットが提供する下り最大2Gbps、上り最大1Gbpsの光回線によるインターネット接続サービス。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県の1都6県で提供され、自宅が実際に利用可能なエリアかどうかは、公式Webサイト上で郵便番号などを入力して確認できる。ただし、利用可能と判定された場合であっても、いくつか条件があるので注意したい。マンションやアパートなどの集合住宅は2階建てまで(居住している部屋がある階数ではない)、戸建て住宅の場合は3階建てまで、といった制限がある。

NURO 光の回線費用は、「NURO 光 G2 V」という標準的なプランで月額4743円。使い続ける間、ずっとこの月額費用となるので、光回線としては割安な料金設定。加えて、キャッシュバックのほか、PlayStation Vita TVやPlayStation 4をもらえたりするキャンペーンも実施しているのでチェックしておくとよいだろう

NURO 光申し込み時に回線工事に立ち会える曜日も指定する

また、回線工事完了後、PCなどがきちんとインターネット接続できるまで設定の面倒を見てくれる「無料設定サポート」もついてくる(ソネット公式キャンペーンから申し込んだ場合)。電話サポートと訪問によるサポートのどちらかを選ぶことができ、PCやネットワークにあまり詳しくない両親の住む実家に引くような場合も安心だろう。

普段のネット利用環境を想定して引き込み方法を相談できる

では、ここからは写真とともに順を追って工事の様子をお届けしたい。まずはNURO 光の申し込み完了後、しばらくすると工事実施日を調整するためのフリーダイヤルがSMSで通知される。自分の都合のいいタイミングで電話をかけて工事日時の調整ができるわけだ。

申し込みが完了すると、工事実施日を調整用の電話番号(フリーダイヤル)がSMSで通知される

工事は宅内と宅外の2カ所を、それぞれ別の日に実施する。これは、宅内がソネット管轄、宅外が光回線を所有しているNTT管轄の工事となっているため。2日とも立ち会いが必要になるが、結果から言えば筆者宅の場合は宅内工事に1時間、宅外工事に15分程度しかかからなかった。

一口に宅内工事と言っても、考えるべきことは多い。近隣の電柱などから伸ばした光ファイバーケーブルの収納場所となる「光キャビネット」を建物外壁のどこにネジ留めするか、宅内に引き込む場所と方法をどうするか、普段のインターネットの使い方を想定し、ONU(終端装置)の設置場所や宅内LANの敷設をどうするか、といったさまざまな点を工事当日に担当者と話し合って決めていく。

筆者宅の場合は、写真左上から2階の雨戸につながっている既存の線に沿わせる形で光回線を引き込むと想定

引き込んできた光回線は軒下に新たに設置する「光キャビネット」に収容する。ちなみに写真右下に見えるキャビネットは現在使っていないCATVのケーブルが収容されている

光キャビネットをネジ留め

光キャビネットは思ったより小型で、ぱっと見は目立たない

新築の家でも気にならない光キャビネット

筆者宅は2階建てで、普段過ごしているリビングは1階。タブレットやゲーム機などの無線機器もリビングで使うことが多い。自宅で仕事することはあまりないけれど、他の部屋で通信することはゼロではないので、家全体でできるだけ快適に通信できるようにもしておきたい。

工事担当の方にその旨伝えると、基本的には無線で通信し、速度が必要な時にはいつでも有線で使えるよう、引き込みやすさ、今後のLANケーブルの敷設のしやすさも考え、1階の和室にONUを設置することを提案された。

仮に1階の和室にONUを設置したと想定。ONU内蔵のWi-Fi機能をいったんオンにし、2階の隅まで無線LANの電波が届くかどうか確認してもらう

近所の家庭で使っている無線電波も多く飛び交っているが、1階のONUからの無線LANの電波も問題なく捕捉できることがわかった

ということで、光キャビネットに収容した光回線は、ONUを設置する和室のすぐ外側へ伸ばす。使用していないCATV回線の穴を流用して壁を通し、部屋へ引き込むことにする

室内側。既存の壁面CATV端子のボックスを取り除き、代わりにローゼットタイプのコンセントを取り付ける

使っていないCATVケーブルは切断し、光ファイバーケーブルを通す

室内側でコンセントの位置合わせ

通してきたケーブルを裂くと、中心部から光ファイバーの芯線が現れる。青く見えるのは被覆

被覆をむいたところ。実際の光ファイバーケーブルはかなり細い

その場で特殊工具を用いてコネクタを作成

無理なテンションがかからないよう光コンセントにセットする

引き込みと光コンセントの取り付けが完了

念のため外の壁面に設置した光キャビネットとの間で導通試験を行う

問題なければONUに接続

NTTによる宅外工事が終わっておらず、物理的にネットワークにつながってもいないため、通信はまだできない

取り付けが完了しカバーで覆われた光キャビネット

宅外工事のスケジュールに合わせ、NTTは引き込むための光回線を事前に準備している

宅外工事当日、工事担当者がすでに準備されていた回線を筆者宅に伸ばしていき、いったん2階の雨戸付近で中継

1階の軒下にある光キャビネットへとつなげる

光ファイバーケーブルを接続したところ

しっかりカバーして宅外工事完了となる

筆者宅のような古い家はもともと気にならないが、新築だと壁に穴を開けたり、光キャビネットが見えることを嫌う人もいそうだ。しかし、これを見てわかるように、コンパクトかつきれいに設置されるので、気にするほどではないと思える

「LINE」のランプが点灯し、無事開通!

融通が利き、安心感も大きいNURO 光の工事

2日に分けて宅内と宅外の工事を行うNURO 光だが、宅内工事はONUの設置場所、配線などを決めなければならないため、立会いが進められている(宅外工事は必ずしも家主がたちあう必要はない)。このように開通までに2回の工事が必要となるため、導入に対して大きなハードルがあるように感じる人もいるかもしれない。

だが、通常の光回線などでも新たに引き込む場合は同じように立ち会いが必要になるし、むしろNURO 光のような高速回線の宅内工事は、理想的な2Gbps環境にするためにも、最初の回線・機材設置がより重要になってくる。工事担当者とは都度話し合いながら進めることができ、2Gbpsという速度を最大限に活かすために、ONUの設置場所の相談はもちろんのこと、壁の中にLANケーブルを通して部屋間をLAN接続したい、といった要望にも応えてくれるので、安心感は大きいはずだ(LANケーブルの敷設工事は1本当たり8000円程度とのこと)。

光ファイバーケーブルを宅内に引き込む際、筆者宅のように既存の穴を流用する形であれば短時間で済む。壁に新たに穴を開けて通す場合はやや時間がかかるとのことだが、最大でも2、3時間で工事が完了するとのことだった。また、宅内工事に限れば、実施時間帯の連絡が2日前にあり、かなり正確にその時間帯で工事が行われるのもうれしい。うまく時間調整できれば、一般の会社員でも"半休"だけで済むかもしれない。

一方、屋外工事については、NTT自身が事前に最寄りの電線上に用意した光ファイバーケーブルを、自宅外壁に設置した光キャビネットに引き込むだけの作業になるため、時間もかからないうえ、その場に常に立ち会っている必要もほとんどない。とにかく、今回のNURO 光の工事は、最初に想像していたほどの手間や不安は一切なく、あっさり終わったなあという印象だった。