説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iBeaconはNFCと何がちがうの?」という質問に答えます。

***

iBeaconとNFCは、どちらも近距離無線通信に分類されるワイヤレス規格です。ただし、iBeaconはBluetooth Low Energy(BLE)をもとにApple独自の機能をくわえた技術であり、NFCのようにそれ自体が規格を持つわけではありません。

iBeaconは、BLE機器が定期的に発する信号(Advertisingフレーム)を利用します。BLEの信号が届く半径約10メートルという範囲に対し、BLE機器(Beaconモジュール)の存在を一定時間ごとに通知するため、iPhoneなどの受信機器を持つユーザがなにかアクションを起こす必要はありません。BLEに対応してさえいればどのような機器でも受信できるので、iPhone/iPadにかぎらずAndroid端末でも利用可能です(対応アプリは必要)。

一方のNFCは、ICカードやICを内蔵したスマートフォンを読み取り装置(NFCリーダー)にかざす/タッチする、という動作をきっかけに通信が開始されます。NFCの規格にはいくつかのバリエーションがあり、なかには数十センチの距離で通信できるものもありますが、近ごろの家電製品やスマートフォンに採用されているNFC(NFCIP-1/2)は通信距離が10センチ以下の近接型です。

ユーザから見たiBeaconとNFCの最大の違いは、「アクションが必要かどうか」だといえます。iBeaconはBeaconに近づいた端末へ情報をプッシュできるので、Beaconを導入している飲食店の前を通ったユーザに対し割引クーポンを配布する、といった使い方が可能です。しかし、ユーザの意思でかざす/タッチするNFCのほうが、プライバシー保護やセキュリティでは安心な面もあります。

米Apple StoreではiBeaconにより、iPhoneを持って店舗に近付くと関連情報を表示する