「WWDC 2014」のキーノートスピーチ。iPhone 6を初めとした新デバイスの発表はなく、新OSの「iOS 8」もマイナーチェンジにとどまったと見えてか、一般ユーザー反応はマチマチだ。では、日々、携帯電話関連のニュースに携わるライターの目にはどのように映ったのだろうか。iOS 8の話題を中心に山田井ユウキ氏に所感を記してもらった。

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6月3日(現地時間2日午前)に開催されたアップルの発表会WWDC。残念ながらメディアや識者の多くが予想していた通り、iPhone 6やiWatchなどの新ハードは発表されず、ソフト面に特化したイベントとなった。iOS 7から様々な点がブラッシュアップされたiOS 8が発表されはしたものの、一般ユーザーにとってはいまいちピンとこない内容だったのではないだろうか。

もともとWWDC自体が開発者向けのイベントであることを思えば、ハードの発表がないこと自体は別に不思議でもなんでもないのだが、やはりAppleの発表会というと何かワクワクするような新ハードを期待してしまうのも、それはそれで致し方ないところだろう。

一方で開発者たちは盛り上がっているようだ。新プログラミング言語「Swift」が登場し、開発者向けのベータ版が即日公開となった。ネットではさっそく「Swift」について解説するブログ記事などが登場している。また、サードパーティー製のキーボードやIMEが使えるようになったことで、ATOKなどの企業が参入に意欲を示していることも報じられている。

新プログラミング言語「Swift」を発表

今回のWWDCは一般的なiPhone/iPadユーザーを喜ばせるためのイベントではなく、秋に登場することが予想されるiPhone 6に向けての助走に入った感のあるイベントという印象だ。新ハードへの期待にアップルが応えてくれるのは、もう少しだけ先の話になりそうだ。

もっとも、今回発表となったiOS 8にしても、それほどのインパクトあるアップデートではなかったように思う。現行のiOS 7からブラッシュアップされた点は多々あるが、いずれも劇的な変化というほどではない。iCloudのような大きなサービスの発表もなかった。これまでの使い勝手を見直し、ユーザーの要望を中心に手堅く作りこんできた感じである。

まぁ、iOS 6からiOS 7であれだけインターフェースが変わったのだから、そう毎回毎回大幅に変更されても困るのだけど。ただし、ブラッシュアップしてきた方向性がちょっと興味深いのだ。