説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iOS 8がいますぐ手に入るって本当ですか?」という質問に答えます。

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日本時間の6月3日に実施されたWWDC 2014の基調講演で、iOSの次期バージョン「iOS 8」が発表されました。リリース予定は「2014年秋」、3~4カ月後にはiOS 8が対応機種のユーザに無償配布されることになります。

しかし、ある方法を使えば、秋まで配布されないはずのiOS 8をいますぐ入手することができます。ある方法とは、開発者向けに配布されるiOS 8のベータ版を入手することです。なにぶん開発途上のシステムですから、不具合や未完成の部分が少なくないうえ、アップグレード作業にはパソコン(iTunes)が必要となるなど、完成版とは機能も導入方法も異なります。あくまで開発者を対象としたバージョンです。

その「開発者」となるには、Appleの開発者向けWEBサイトから「iOS Developer Program」(またはiOS Developer Enterprise Program)に加入しなければなりません。費用は99ドル/年、支払いにはクレジットカードが必要です。

入手したベータ版ですが、その内容はプログラム加入時にAppleと結ぶ秘密保持契約(NDA)で保護されています。iOS Developer Programを通じて知った情報は、外部に公開することが許されません。WWDC 2014の基調講演で発表された情報、あるいはAppleのWEBサイト(ログインが必要なiOS Developer Programのページを除く)で公開中の情報については問題ないものの、iOS 8の正式公開前にベータ版でしか知り得ない情報をブログやSNSで紹介することはNDAに抵触します。もちろん、スクリーンショットの公開も禁止です。

iOS 6やiOS 7のときは、正式公開前にスクリーンショットを含むベータ版のさまざまな情報が海外のブログなどで紹介されていました。当然NDAに抵触する行為ですが、なし崩し的に見逃されていたのが現実です。とはいえ、NDA違反のかどで提訴される可能性があるうえ、違反行為がエスカレートすればベータ版の配布範囲が限定されるなどAppleの姿勢が硬化し、世界中の開発者に迷惑をかける可能性もあります。iOS 8が正式公開されるまで楽しみに待つことが、まっとうなiPhoneファンのあるべき姿勢ではないでしょうか。

iOS Developer Programへ加入し開発者となれば、いますぐiOS 8のベータ版を入手できますが……