ここにはかつて、筑波鉄道筑波線の線路が

茨城県土浦市の土浦駅と茨城県西茨城郡岩瀬町(現・桜川市)の岩瀬駅を結ぶ筑波鉄道筑波線は、昭和62年(1987)にその歴史を閉じた。キハ500形やキハ300形が駆けた40.1kmの道は現在、自転車が駆けるサイクリングロードになっている。

休憩所には駅舎跡を活用

軌道跡を生かした自転車歩行者専用道路の名は「桜川土浦自転車道」 、愛称「つくばりんりんロード」である。舗装整備された道は勾配も緩やかで、辺りは筑波山を望む田園風景などと、走りやすさと豊かな自然を兼ねそろえた道が続いている。また、道中には駅舎跡を活用した6つの休憩所があり、トイレやベンチ、駐車場が設けられている。

今回はJR東日本の常磐線土浦駅からりんりんロードに入り、岩瀬駅までの往復ライドを決行。土浦駅は上野駅から乗換なしで、普通列車なら約1時間15分、特急なら約45分でアクセスできる。土浦駅の周辺は駐車場も整備されているので、「土浦まではクルマで」という選択もある。往復しても80.2kmのツーリング。朝一で東京を出て走り始め、ランチを岩瀬駅周辺で楽しみ、夕方には土浦駅に戻って帰路へ、という日帰りツーリングができる。

「つくばりんりんロード」へ案内

道中には地図があり、オススメスポットも教えてくれる

土浦駅からりんりんロードまでは2,3kmと近いが、その間にはクルマの通りの多い道と交わることもあるので、注意して走行したい。道中にはりんりんロードへの行き先を示す標識もあるので参考にするといいが、道に迷っても周りの人に聞けば「あっち」と教えてくれる。

土浦駅から走ると、初めは街の中を走っている感覚だが、気がつけば田園風景が開けてくる。道の両サイドには木々が立ち並び、季節の移ろいも感じられる。取材時の4月末には桜が咲き誇り、その奥では田植え機がゆっくりと稼働していた。

筑波駅舎を活用した筑波休憩所

"雨引観音ヒルクライム"で刺激を

ツーリング当日は土曜日だったが、都内のサイクリングロードのように混んでおらず、自転車とすれ違うのもまれだった。また、フラットで走りやすいコースということもあって、子供と一緒にサイクリングを楽しんでいる家族を見かけることもあり、なんだかほほえましい気持ちにもなることも。

休憩所は「虫掛」「藤沢」「筑波」「真壁」「雨引」「岩瀬」と、駅の名を引き継いでいる。今は駅名などの標識はないが、屋根やベンチから当時の駅の姿を推し量ることができる。休憩所間は場所によって3.8km~12.8kmと幅があるが、休憩所以外にも駅舎跡は残されているので、自分の好きなタイミングで足をとめられる。

また、道の側には武者塚古墳や小田城跡などの史跡のほか、「雨引観音」という古刹もある。ただ、雨引観音に関してはちょっと注意していただきたい。岩瀬から雨引の間に雨引観音を示す標識があるため、「近いんだろうな」と思ってしまうが、りんりんロードからは3km程度と少し離れており、雨引観音は雨引山の上にある。つまり、ヒルクライムなのだ。

途中には登坂角度が15%近くになる坂もあるので、のんびり走れるりんりんロードの気分で行くと大変なことになるかもしれない。とはいえ、たどり着いた時の爽快感は格別だ。もし、もっと刺激が欲しい人は"筑波山ヒルクライム"に挑戦していただきたい。

雨引観音は安産子育ての霊場としても広く知られる関東屈指の寺。桜の名所でもあり、6月10日~7月20日には境内の約3,000株のアジサイが花開くアジサイ祭も開かれる。境内にはクジャクが優雅に歩いているので、寺とクジャクのコラボを楽しんでみるのもいいだろう。

"雨引観音ヒルクライム"の後はお寺を散策

折り返し地点の岩瀬でランチ休憩をする人が多いらしく、周辺の食事処をネットで検索してみると、「サイクリングで立ち寄りました」などというコメントが投稿されていることも多い。また、サイクリング中のおともには、岩瀬駅からも近い国道50号線、元岩瀬の交差点に位置する洋菓子店「パティスリー Ishikawa」の「やさしいプリン」(240円・税込)がオススメ。疲れた身体に染み渡る、甘い癒やしはサイクリングをもっと楽しいものにしてくれる。

国道50号線そばの「麺工房 秋田」でランチ。「ミニえび天丼セット(桜川そば)」は1,050円(税込)

「パティスリー Ishikawa」の「やさしいプリン」(240円・税込)

※記事中の情報・価格は2014年4月取材時のもの