外出先や移動中など、場所を選ばずにスケッチやドローイングができるiPad用クリエイティブアプリ。無料のお絵描きアプリから、Photoshopと連動できるような本格的なものまで、様々なものがリリースされているが、自分に合ったアプリがどれか分からないという人も多いのではないだろうか? そこで今回は5つのアプリをピックアップし、機能や特徴を紹介したいと思う。

また、クリエイティブアプリでの快適な制作に欠かせないのが、iPad用のスタイラスペンだ。筆圧感知や画面に手をついても描くことのできるパームリジェクション機能などを搭載し、ストレスフリーな制作環境を可能にしてくれる。今回はワコムのスタイラスペン「Intuos Creative Stylus」の使用を想定して、各アプリケーションの性能・使用感を検証していく。

Autodesk SketchBook Pro for iPad(価格:500円)

豊富なペンツール・カラーピッカー・レイヤー機能など、イラスト制作を楽しむために必要な機能を幅広く備えたアプリ。120種類以上のカスタムブラシは、スタイラスペンの筆圧感知に対応しており表情豊かな描画が可能。iPadアプリには珍しいテキスト入力機能や、左右対称のイラストが簡単に描ける「対称モード」といった個性的な機能も盛り込まれている。レイヤーを保持したままpsdデータに書き出すことができるため、iPadでざっくりとした下絵を描き、細かい仕上げはPCで行うといった制作スタイルにも適している。簡易無料版も用意されているので、気になる人はそちらで使用感を試してみるといいだろう。

ArtRage(価格:500円)

油彩・水彩・クレヨンといった、アナログ画材の質感を追求したペイントアプリ。絵の具のチューブからそのまま絞り出したような質感や、ペインティングナイフで塗り伸ばしたときのタッチ、ローラーを使ったザラザラとしたテクスチャなど、アナログ画材ならではの表現を疑似体験できる。各画材のカスタマイズも可能で、例えば水彩モードでは、筆の水分量やにじみの加減、紙の濡れまで設定することができる。水彩風のスケッチや、油絵の抽象画のようなアーティスティックなドローイングには真価を発揮するアプリだ。

Zen Brush(価格:300円)

漫画『バガボンド』の作者である井上雄彦氏が愛用していることでも話題となったアプリ。和筆の描き心地を再現し、気軽に書や水墨画のような表現が楽しめる。筆の太さは直径1mm~5cmまで調整可能、濃さは3種類から選択可能だ。指先でのタッチ操作でももちろん描画できるが、スタイラスペンの筆圧感知と相性がよいため、ぜひペンとの併用をおすすめする。手のひらをついてもペン先だけに反応する、パームリジェクション機能に対応。筆の表現に特化したシンプルな機能ゆえ、完成度の高いイラストを作るというよりは、手軽に書道気分やスケッチを楽しみたい人向けといえる。

ProCreate(価格:600円)

「Photoshopと同様の制作環境がiPadでも手に入ったら……」というクリエイターの願いを叶えてくれる本格描画アプリ。シンプルなインタフェースに、ブラシやレイヤー、投げ縄ツール、自由変形といったPhotoshopでおなじみの機能が凝縮されている。繊細なブラシやぼかしツールで、iPadで制作したとは思えないようなプロフェッショナルな表現を追求できる。レイヤーは最大で128枚(最小キャンパスサイズ時)まで使用でき、明度やコントラストなどのレイヤー効果も充実。もちろんpsdファイルへの書き出しも可能だ。先に紹介したSketchBook Proと内容面で拮抗しているが、PhotoshopユーザーにとってはUIや機能においてProCreateの方が使い込みやすい印象。一方でPhotoshopを使ったことのないユーザーにとっては持て余してしまう機能も多く、対称描画モードやテキスト入力機能はついていないので、そちらを使いたい場合はSketchBook Proを選ぶといいだろう。

Bamboo Paper(価格:無料)

ワコムが開発しているデジタルノートアプリ。本物のノートのようなUIデザインが魅力的で、制作した画像はカテゴリーごとにまとめられ、ページを手でめくるように見返すことができる。スタイラスペンとの相性は言うまでもなく、しっかりと筆圧を反映して手書きに近い感覚が楽しめる。種類はやや限られるが、背景の紙色・ペン先の種類・色などを変更することができ、無料アプリながらも手軽なスケッチには充分対応できる内容だ。絵日記を描きためたり、カメラロールから取り込んだ写真にイラストを加えてコラージュ帳を制作したりなど、アイデア次第で様々な活用法ができそうだ。

PC環境と連動させて本格的なイラストを楽しみたいならば「SketchBook Pro」または「ProCreate」、iPad上で手軽にお絵描きをしたいユーザーには「ArtRage」や「Bamboo Paper」、和筆の特徴的な描き心地を体験するならば「Zen Brush」といったところだろう。iPadとスタイラスペンを活用し、空き時間をクリエイティブに過ごしてみてはいかがだろうか。

なお、ワコムでは、Intuos Creative Stylusとアプリを使ってできる様々な画風を紹介する特設ページを公開しており、プロのクリエイターによるIntuos Creative Stylusとアプリを使った作品ギャラリーなども見ることが可能だ。

※アプリ価格は全て記事掲載時のものであり、変更となる可能性があります。