【レポート】

B-1グランプリでも優勝した秋田県「横手やきそば」はなぜベストセラーなの?

ご当地グルメのひとつの到達点は「B-1グランプリ」での優勝だ。このグランプリでその名が全国に知れ渡るご当地グルメも少なくない。横手焼きそばもその例に漏れず第1回大会(2006年)からエントリーを続け、第4回大会(2009年)で悲願の初優勝に輝いたことで一気に全国区になった。

評価の高い「横手やきそば」とは? (写真は「横手やきそば館 ゆう」の「肉玉」550円)

まっすぐな太麺に目玉焼きを載せて

「横手焼きそば」は昭和28年(1953)ごろに生まれたとされ、当時、横手市内には100店舗ほどの焼きそば店があったという。その最大の特徴は、まっすぐな太麺(角麺)であること。ガッシリとした食べごたえがあり、具材はキャベツや豚の挽肉主体とシンプルで、目玉焼きが上に載っていること。そしてソースは、店によって個性があるがマイルドなウスターソースということだ。

その味を「地域ブランド」として生かそうと、2001年に「横手やきそば暖簾会」なる団体が発足。約50店の加盟店の中から毎年、人気店を「四天王」として認定するなど今の「ご当地グルメ ブーム」のはしりのようなことを試みてきた。そんな横手焼きそばの実際の姿はいかなるものか。現地で調査してみた。

横手やきそば四天王の店は王道の味

最初に訪れたのは、2008年度横手やきそば四天王を受賞した店「横手やきそば館 ゆう」だ。取りあえず食べてみようとオーダーしたのは「肉玉」(550円)。待っている間じゅうじゅうと焼き音が聞こえ香ばしいにおいが鼻孔をくすぐる。

「お待たせ」と出てきた焼そばは、見てくれこそいかにもオーソドックスな「ザ・焼きそば」。注目は麺だ。モチモチしていてソースとよく絡んでいる。ソースはやや多め。しんなりしたキャベツの甘み、目玉焼きの半熟さ加減……どれを取っても焼そばの王道をいく風格である。出来たてをフーフーしながら食べる快感を存分に味わった。

「味のこだわり? ウチは麺が自家製だってことかな」。そう答えてくれたのは店主の瀬川優子さん。「昔からの味をずっと受け継いでいますからね」。といっても見た目まだ若そうだ。「私が焼いて20年、本店の亡くなった先代で50年以上たっているんですよ」と教えてくれた。この「本店」こそ、横手やきそばの総本山「横手やきそば暖簾会」の会長のお店「福龍」であった。なるほど、それで王道と感じさせるに十分な味や見た目なわけだ。

「横手やきそば館 ゆう」の「海鮮イカスミやきそば」は700円

ちなみにオリジナルメニューの「海鮮イカスミやきそば」(700円)は、イカスミを麺に練り込んだユニークな一品。「焼くと和風の味になるんですよ」と瀬川さん。食べてみると確かに和テイスト。海鮮だけにエビやアサリもトッピングされていて豪華な一品だ。

●information
横手やきそば館 ゆう
秋田県横手市田中町1-16

つゆだくよりしっとりが好みならココ!

続けて訪れたのは老舗店のひとつ「焼きそばのふじわら」だ。実に創業53年。のれんを守るのは2代目店主の藤原和子さん。「うちは焼き上げにこだわっているよ。とにかくじっくり焼くこと。そうするとオリジナルソースが麺に染みこむのよ」と藤原さん。

他の店はいわゆる「つゆだく」的な仕上がりが多いのに対して、「ふじわら」は「しっとり」と言えばいいだろうか。食べてみればその差は明瞭。オーダーしたのはオーソドックスな「肉玉」(500円)だが実にやさしい味。麺にしっかりとソースが染みこんでいて、縁日の焼きそばチックな鉄板料理感がある。食べやすい印象なのは、「キャベツが細切りでそばの邪魔にならないからだと思いますよ」と藤原さん。

「焼そばのふじわら」の「肉玉」は500円

●information
焼きそばのふじわら 秋田県横手市寿町8-16

中華料理店でちょっと甘めの焼きそばを

「そういえば、焼きそばって中華料理でもあるよなぁ。中華料理店の作る横手焼きそばって、どんな味なんだろ?」そう思って足を運んだのは「横手飯店 旭川店」だ。ここでも早速「焼そば」(500円)を注文。

出てきた焼そばはいかにもオーソドックな一品だった。やや拍子抜けの感もしたが問題は味である。食べてみると「これはうまい!」と思わずうなる味。「うちは中華料理ってことに関係なくオーソドックスな横手焼そばの味だと思いますよ。でもちょっと甘めのソースかな」とは主人の百合川民夫さん。

「横手飯店 旭川店」の「焼そば」は500円

●information
横手飯店 旭川店
秋田県横手市旭川1-4-25

考えてみたら、焼きそばっていうのは究極のB級グルメだ。誰でも気軽においしく食べられるってことが重要。こだわりが強過ぎると堅苦しいかもしれない。その絶妙なバランスを維持しているのが、ここ「横手のやきそば」の店舗たちだ。機会があればぜひご賞味あれ!

※記事中の情報・価格は2014年4月取材時のもの

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