ゲッティ イメージズは、iStockイラストレーションマネージャーのJenn Borton氏を招き、東京都・原宿のゲッティ イメージズ ジャパンにて「iStock イラストレーターフォーラム」を開催した。

会場の様子

このフォーラムは、カナダ在住のイラストレーターJenn Borton氏によるイラストレーションの最新トレンドについてのプレゼンテーション、希望者のポートフォリオの個別レビュー、そしてQ&Aで構成されていた。希望があれば、イラスト作成のためのチュートリアルやテクニックとしてイラストの作成の仕方も教えてくれるということだった。

iStockイラストレーションマネージャーのJenn Borton氏

会場では参加者同士の情報交換もみられるなど和気あいあいとした雰囲気で、最初に行われたプレゼンテーションでは、現在イラストのトレンドにはどういった傾向があるか、同社のストック素材サイト「iStock by Getty Images」(以下、iStock)ではどんなイラストが高い販売実績を誇っているのかなどといったことを中心に、かなり具体的な例と共に解説が行われた。

Borton氏は、「大きな流れとして、近年ゲッティ イメージズでは、ベクターのタイポグラフィーを多く受け付けるようになりました」と同社の現状を示したのち、顧客のニーズに言及。「黒板やノートなどに手書きで書いたようなカジュアルなものが人気」ということで、シェードなどで作りこむことは極力行わず、フラットで色数をおさえたカラーリングが好まれているという。そのほかの傾向として、「スクリーン印刷や木版印刷のようなテクスチャーを表現したり、レトロなビンテージ感を出したりと"ベクトルらしくないベクトルデータ"を作ることに、多くのクリエイターが時間をかけているように感じています」と語った。

新たな需要が集まる「インフォグラフィックス」

参加者が思わず身を乗り出したのは近年需要が高まっている「インフォグラフィックス」についての内容。「表やグラフなどをよりグラフィカルにわかりやすくみせる"インフォグラフィックス"も新しいムーブメントですね。データをより効果的かつきれいに見せる事ができるので、多くの業界で取り入れられ始めている傾向があります。当然カスタマイズして使用するユーザーが多いため、アイコンセットとして販売するとダウンロード頻度もあがるようです」とのことで、ビジュアルの作り方だけでなく、買い手の使い勝手も考慮した売り方が重要なようだ。

手書きで書いた雰囲気のカジュアルな素材の例

さまざまなデータをグラフィカルに見せる「インフォグラフィックス」も需要が高まっている

インフォグラフィックスは現在日本でも新しいデザインの領域として注目度が高く、デザイナーの作業時間を縮小するというニーズもふまえ、この先どんどん需要が増えそうだ。「グラフ」としての機能と「デザイン(イラスト)」としての作品性をどう表現していくかが鍵となるのではないか。また、Borton氏のプレゼンテーションは、言葉で説明しながら、たくさんの具体例のイラストをプロジェクターに順に示していくため、とてもわかりやすい。そして、Q&Aとは別に、要所要所で参加者とのコミュニケーションを図りながら理解を深めていた。