月間約100万PVを誇るブログ『ネタフル』を運営するブロガーとして知られるコグレマサト氏。『ネタフル』はApple、Mac、iPhone、iPad、浦和レッズ、デジカメ、ブログ、Twitter、ライフハック、お笑い、アイドル、サッカー、育児、音楽、映画など、幅広いテーマを取り上げたブログだ。

コグレ氏は、3月25日発売の『ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条』(マイナビ新書 徳本昌大・高橋暁子共著)にアドバイスを寄せている。アドバイスの拡大版として、コグレ氏が考える「ソーシャルメディアやブログを通して自分の人生を変えていく」ための方法を聞いていこう。

コグレマサトさん
1972年埼玉県生まれ。獨協大学大学院経済学研究科博士後期課程中退。インターネットで収集した気になるモノとコトを、ひとまわり拡張して提供し続けるブログ『ネタフル』を運営中。月間約100万PV。浦和レッズサポーター。コンテンツ制作会社、インターネットサービスプロバイダー、ウェブ制作会社を経てブロガーに。アルファブロガー2004、アルファブロガー2006に選ばれる。

とにかくコツコツ毎日継続が大切

「ネタフル」は2003年7月にスタート。1日10エントリー平均で更新し続け、もう11年になる。「ブログはとにかく継続することが大事。修行みたいにコツコツと続けていくしかない。毎日書かなければ書かなくなってしまうので、小さなことでも毎日書くこと」とコグレ氏はアドバイスする。

「ネタフル」は検索エンジンからのアクセスが多く、記事が増えるに連れてアクセスも増えてきたという。「PVを増やすためにも、とにかくコツコツと書き続けるしかない」。過去に書いた記事が自分の強力な財産になってくれるというわけだ。

コグレ氏は専業ブロガーで、朝9時から夕方の18時頃まで、毎日7、8時間をブログの執筆に費やす生活を送っている。一般的なサラリーマンとほぼ一緒の生活だ。

「僕はフットワークは軽くなくて、普段は家にいたい方。どこにも行かなくてもいいし、どこにいてもできるからブログなのだと思う。椅子に腰を落ち着けて7、8時間やると『やったな』となる。3、4時間だと書ききれないし、書きたい欲が満たされない」

「ネタフル」は、ご紹介した通り取り上げる範囲が広い。ネタとしての採用基準の1番のポイントは、自分が興味あるかどうかということだ。「興味があるかどうか、伝えたいかどうかも書くかどうかの基準になる」

巻き込むことは楽しい

コグレ氏のネットとの付き合いは、22、3年前のパソコン通信から始まる。まだ高校生だったが、パソコン通信からオフ会文化を知った。その後、メールマガジンのオフ会として「○時にMacword Expoの○○に来たらシールをあげます」と告知してシールを配ったり、飲み会を開いたりと、「会って話すと楽しい」ということを実感していた。「その頃から、やっていることはずっと変わっていない」

「巻き込むことは楽しい」とコグレ氏は言う。ブログ経由で知り合った仲間と人間関係ができ、仲間ができた。Macworld Expoで会っていた人たちとは今も友人だ。

やっていることは変わっていない

「メールマガジンを配信していた頃から、ネットで何か書くことだけで食べていけるようになりたいと思っていた」という。メルマガは日刊を含め3つほど運営しており、購読者は2万から2万5,000人ほどいた。テーマは、ネタフルとほぼ同じだ。

その頃は、営業から制作までをこなす会社員だったコグレ氏。2002年頃、ブログのネタの倉庫として知ったのがCMSだ。その後、会社の業務で扱い、CMSを使って記事を書く実験をしたところ、Movable Typeが使い勝手が良かった。そこで、Movable Typeを使って現在のように情報発信を始めたというわけだ。ブログの執筆も運用も1人でできることは、その後もコグレ氏の強みとなっている。

コグレ氏は『ツイッター 140文字が世界を変える』など、Twitter関連の著作も多い。Twitterは、2007年3月とかなり早い段階から開始している。「ブログ仲間とのブログ合宿時に教えられて始めたが、当時は日本語も使えないし何を書けばいいんだろうと思っていた」という。しかし直後にユーザーが一気に増えて面白くなり、2009年には著作を出すに至っている。コグレ氏のように、興味を持ったらすぐに始める、面白さがわかるまで実験するという姿勢が重要と言えるかもしれない。

情報発信をしないといないのと同じ

「情報発信しないと、極端な話、いないのと同じ。だから何でもいいからとにかく書き続けること」とコグレ氏は主張する。「誰でも最初は何を書いたらいいかわからないもの。書いてみたらこれがウケるとか分かってくるので、何でもいいからとにかく書き続けることが大切」

コグレ氏のブログも、最初から反応があったわけではない。しかし、反応はなくても書くことを楽しんでいた。「現在はブログを書いたら本が出せるとか有名になれるとかが見えているため、急いで先に進みたくなるのは分かる。けれど、本当は近道はないと思う」。コグレ氏が考える書き続ける期間は、「会社に入って一人前になるくらいの長さは必要。最低3年。せめて年単位でやらなければ、1年を通した流れが分からない」という。

「TwitterやFacebookからブログをはじめる人も多いのでは」というコグレ氏。「どのツールを使うか、発信するかしないかはその人次第だが、何かを持っている人は続けたほうがいいし、発信した方がいいよと言いたい」

やめなければトップランナーになれる

「楽しむことで続けられる」とコグレ氏はアドバイスする。著作『マキコミの技術』でも書いている通り、誰かに話しかけてみる、オフ会に行ってみるなど、世界を広げることを続ければ楽しさが近づいてくるのだ。「やめないでいると周りがどんどんいなくなっていき、結果的に残る。やめないでいるとトップランナーになれる」

家族、友達、同僚など、人における横のつながりの種類はたくさんある。たとえば、異業種交流会は名刺でしかつながってない。しかし、ソーシャルメディアや飲み会、イベント等を通してお互いを知っている人同志ならば、つなげることができるし、化学反応が見込めるというわけだ。

巻き込まれる2番目の人も大切

「旗を持って同じ所に立っていると見つけた人がついてきてくれる」とコグレ氏は語る。ブログを書いて、「毎日ここにいて同じことをやっている。面白かったら一緒にどうですか」という旗を出し続けることで、周囲に認められるようになるのだ。

その際、「参加します」と言ってくれる周囲の人も重要だ。「誰かが勇気を持って参加することで変化が生まれる。巻き込みも大事だが巻き込まれも大事」という。

やはり、成功には近道はない。発信を続けることで共感が生まれ、そこで吸引力、ひいてはマキコミ力が生まれると言えるだろう。

『ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条』(マイナビ新書 徳本昌大・高橋暁子共著)

第1ヵ条 専門たれ
第2ヵ条 アウトプットで自分もまわりも巻き込む
第3ヵ条 手を挙げる準備をしておく
第4ヵ条 緩い絆のコミュニティを作る
第5ヵ条 ソーシャルで出会い、つながり、リアルで会う
第6ヵ条 即レス、即アクションを心がけよ
第7ヵ条 Give&Give 貢献こそがソーシャルメディア
第8ヵ条 仲間を見つけて協力し合う
第9ヵ条 伝える力と聞く力をソーシャリアルで鍛えよ!
第10ヵ条 プラットフォーム(基盤)を作る

※コグレ氏は「第2ヵ条 アウトプットで自分もまわりも巻き込む」に登場