悦楽への道は複雑怪奇

例に挙げた「最後の快感リターンキーの快感」を得るためには、いくつかのハードルを越える必要があります。

Macのキーボードはキーストロークが浅く、素早い指の動きにも割と付いてきてくれる快適さはありますが、では1つ1つの打鍵感はこれで快感なのか、というキーボードの課題があります(今まさに、新調しようとしているので…)。

また日本語の文章を入力するには、漢字変換の性能が重要になりますし、軽快なテキストエディタも必要な要素になります。例えば文章を書くといっても、文章の種類や掲載場所によって、テキストエディタやワードプロセッサの画面で表示する「フォント」でも違いが出てきます。

こうした複雑なテーマを、1つずつに分解しながら紹介し、組み合わせて使えるものを提案していけるようにしたいと思います。

ここで、もう少しフォントについて掘り下げてみましょう。

例えば筆者は、オンライン向けに書いている原稿はゴシック体、雑誌向けに書いている原稿は明朝体で書き進めています。理由は非常に個人的ですが、最終的に原稿が掲載されるイメージに近い状態で書くほうがしっくりくるからというもの。さらに欲張りをいうと、雑誌の場合は1行の文字数や行数が決まっているため、これに合わせて書式設定も保存できる方が良いということになります。

文章を快適に書き進められるよう、動作が軽快なテキストエディタが必要ですが、フォントを文書によって使い分け、書式設定を文書ごとにカスタマイズできるアプリである必要があります。こうして、課題と具体的な解決策が絞られてきます。

このように、我々が何気なくこなしている文章を書く作業にも、より心地よくするための条件を発見すれば、それを解決する方法を導き出すことができるのです。