ガジェットの制作なども。アプリ部門も盛り沢山!

アプリ部門のファイナリスト5組、プレゼンテーションのトップバッターは、新潟コンピュータ専門学校の佐藤侑紀さん。「ゲームに対する偏見をなくす」という開発意図のもと作成されたアプリ「Distortion of GRAVITY」は、普段ゲームをしない人にもプレイしてもらえるよう、シンプルなアクションゲームとしているのが特徴的だ。また、本作と同時に、ゲーム制作を効率よく行えるようライブラリも構築。プレゼンテーションでは、そのライブラリを用いてわずか3日で制作した3Dアクションゲーム「鹿戦」を披露し、会場を沸かせていた。

新潟コンピュータ専門学校IT高度専門学科に所属の佐藤侑紀さん

ゲームへの偏見をなくすために、まずはゲームの良さや面白さを理解してもらう。そのためのアプローチとして、シンプルなアクションゲームとしたという

実際にデモンストレーションで披露されたプレイムービーは、シンプルな中にもヤリ込み要素の詰まったアクションゲームを感じさせた

アプリ制作過程で構築したライブラリを活用し、わずか3日で制作したゲーム「鹿戦」。審査員もライブラリの有用性をチェックしていた

チームSpotの木藤紘介さんと吉田拓真さんが開発したアプリ「Spot」は、スポーツにおける分析作業を、タブレットひとつで完結できるというもの。従来、ビデオで撮影した映像を再生・巻き戻しながら長い時間をかけて分析する必要があった。

そこで「Spot」では、タブレットPCで撮影を行いながら、ポイントとなるプレイにGood、Badとタグ付けも合わせて行えるようにした。映像再生時には、そのタグで映像の頭出しが行えるほか、映像を再生しながら画面上に書き込みも可能で、選手への情報伝達・理解力の向上に寄与する。

木藤さん(写真右)も野球をたしなんでおり、一時はケガでデータマンとして分析に携わった経験から、この「Spot」の着想を得たそう

撮影しながらでも、タグを付けやすい画面デザインを作り込んでいる。スポーツ番組で見られるような、「この選手のこの動きに注目」や「この空いたスペースに走り込め」など、映像上に手書きメモが書き込めるのは使い勝手がよさそうだ

かわいらしいパンダやウサギのぬいぐるみロボットを用いて、離れた祖父母と孫をつなぐコミュニケーションツール「かぞくぐるみ」を開発したのは、鳥羽商船高等専門学校のチームかぞくぐるみ。ぬいぐるみがインタフェースとなっていることで、子供が抵抗なく触れ合えるように工夫されている。音声での会話はもちろん、ぬいぐるみ内部のロボットを遠隔地の祖父母がKinectで操作し、孫と遊ぶことも実現していた。

孫と祖父母をつなぐコミュニケーションツール「かぞくぐるみ」をプレゼンテーションする、鳥羽商船高等専門学校のチームかぞくぐるみの皆さん

しゃべって動くぬいぐるみに対する子供の食い付き具合は、彼らの「自然に触れ合えるインタフェース」という狙い通り。音声はSkype、動きはKinectを活用している

現役高校生がプレゼンターを務めるチームProject YABAIの「AzyoRemocon」は、タブレットやスマートフォンをTVのリモコンにしてしまおう!というもの。アプリに加え、TVと赤外線通信を行う端末まで自作してしまったというから驚きだ。また、単にTVリモコンアプリとしての機能だけではなく、Twitterアカウントと連携する。ユーザーのツイートを解析して、興味を抱きそうなTV番組をレコメンドしてくれる機能が特徴だ。

Project YABAIのプレゼンター、現在都立小松川高校に在籍している桜井拓也さん

手に馴染んでいるスマートフォンやタブレットを使って、TVをシームレスに操作。個人的には、ツイートの内容を解析してレコメンドしてくれる機能が興味深かった

アプリ部門の最後を飾ったのは、team FUKUSHIMAによる幼稚園・保育所向けデジタル補助教材「asobo(アソボ)」だ。東日本大震災と福島原発事故のあと、福島の子供たちは外遊びを制限され、体力低下の問題に加えて心の問題を抱えており、その解決の一助として開発された。

子供にはより楽しい身体遊びを、保育士には負担の軽減と保育内容・保育方法の充実化が図れるよう考えられている。運動習慣の定着化や好奇心の増大に加え、癒やしにもつながるとのことだ。福島のみならず、豪雪地帯や、外遊びをさせるには心配がある治安の悪い地域での活用も見据えていた。

アプリ部門の最終プレゼンターは、team FUKUSHIMAの面々

プロジェクターで映し出された自分の映像に、クレヨンで描いたパーツがくっついている姿に興奮気味の子供たち。キッズヨガ、身体遊びなど、プログラムを提供し続けることで、保育士の負担軽減にもつながる