広島県尾道市と言えば、「愛媛県今治市まで続く『瀬戸内しまなみ海道』に通ずる点」と思っている人も多いかもしれない。しかし今日では、サイクリストが望むあらゆるものを詰め込んだ複合施設「ONOMICHI U2」(以下、U2)を通じて、本気で"サイクリストの聖地"が形成されているのだ。

サイクリストが欲しいものをギュッと詰め込んだ「ONOMICHI U2」

海運倉庫を改装した安らげる場所

この3月22日に誕生した「U2」は、2006年まで使われていた尾道水道に隣接する海運倉庫「県営上屋(うわや)2号」を改装している。プロジェクトが動き始めた際、上屋を略した"U"と2号の"2"をとって「U2」事業と呼んでいたらしく、それがそのまま施設の名称「U2」になったという。

倉庫の広さは約2,000平方メートル。その空間は、「建築というモノと出来事の関係を考えながら、その場所だからこそ実現可能な体験を提供していきたい」と語る、広島出身の建築家・谷尻誠さんの手によってデザインされている。天窓から差し込む光がより一層開放的な空間を生み出し、倉庫の扉をそのまま生かした壁面はレトロモダンな雰囲気を醸し出している。ウッド調やグリーンには、「疲れて戻ってきた人も心安らげるように」という想いも込められているという。

「ONOMICHI U2」の中の様子。天窓から温かい光が差し込む

「U2」では、以下の施設・サービスを展開している。
ホテル「HOTEL CYCLE」
ライフスタイルショップ「U2 shima SHOP」
レストラン「The RESTAURANT」
バー「KOG BAR」
カフェ「Yard Cafe」
ベーカリー「Butti Bakery」
サイクルショップ「GIANT STORE」

瀬戸内のおいしいを載せた極上ピッツァ

これらの施設・サービスはサイクリスト目線であるものの、訪れている人はファミリーや女性グループ、カップルなどと幅広い。というのも、「U2」はJR山陽本線・尾道駅より徒歩5分という好立地。加えて、入り口付近に立ち込めるおいしそうなにおいにやられてしまうのだ!

ベーカリー「Butti Bakery」では天然酵母"ルヴァン種"にこだわったパンをそろえており、客の中にはトレーにパンを山盛り載せている人も見かけた。「レストランを予約してちょっと立ち寄ってみたんだけど、おいしそうなパンがいっぱいあったので……お土産用に、ということで」と話してくださった。

「Butti Bakery」の奥では、常時パンが焼かれている

レストラン「The RESTAURANT」では、「Butti Bakery」の焼きたてのパンや土地の新鮮な野菜や果物を楽しめる朝食ビュッフェ、生牡蠣やエビの冷製シーフードプラッターとチャコールで焼き上げるグリル料理で迎えるディナーコース&アラカルトがあるが、何といってもオススメなのがランチである。それも是非平日に来ていただきたい。

平日限定で実施しているピッツァビュッフェは、前菜、窯焼きピッツァ、サラダバーがセットになったもの。ピッツァは季節によって変わるが、3月取材時には「マルゲリータ」「春キャベツとアンチョビ」「ゴルゴンゾーラ」「瀬戸内レモンのピッツァ」の4種を用意。ピッツァはオーダーを受けてから焼き始める食べ放題になっており、いろいろな種類を食べてもらえるようにと小さなサイズで提供している。このセットを大人1,400円・子供1,000円で楽しめるのはありがたい!

平日のランチにはピッツァビュッフェを実施。「瀬戸内レモンのピッツァ」などが食べ放題になる

ディナーは瀬戸内の幸を生かしたコース&アラカルトを用意。写真は「本日のお肉料理」の瀬戸内六穀豚(ろっこくとん)

カフェ「Yard Cafe」では店内に席を用意しているが、自転車に乗ったまま購入できる"サイクルスルーカウンター"も設置している。船が行き交うテラスにて、サンドイッチやコーヒーを片手に小休止するのもいい。また夜は夜で、23時まで開いているバー「KOG BAR」にて、海を眺めながら過ごすひとときも格別だろう。

「Yard Cafe」ではサンドイッチやドリンク、アイスなどを提供している

「KOG BAR」で大人なひとときを

※記事中の情報・価格は2014年3月取材時のもの。価格は全て税別