要望書は、議論の結論に対して特定の方向性を求めたものではなく、あくまでも「フラットな状態」(藤田氏)で議論を進めることを求めており、今後行われる各社に対するヒアリングでは、KDDIの田中孝司社長やソフトバンク孫正義社長らが、自社の立場を説明していく。それを踏まえて結論を導き出して欲しい、というのが要望書の位置づけだという。

とはいえ、実質的に3社の寡占状態にある携帯業界では料金が高止まりしているといった根強い批判もあり、さらにセット割のように恩恵を受けられない消費者に対して、「市場支配力によって競争環境がゆがめられる」というだけでは、賛同も得られにくいだろう。藤田氏も「短期的な視点ではなく、長期的な視点」という立場を強調するが、今回は、NTT側が先んじてアピールを強めたことで、「非NTT連合」側が後手に回った感は否めない。

いずれにしても、今回の特別部会は、NTT規制は議論の一部であり、今後の日本としてのITに対する取り組みを議論する場でもある。議論の行方に注目したい。