しまなみ海道はこれなくして走れない!?

広島県尾道市から愛媛県今治市まで続く「瀬戸内しまなみ海道」の、尾道から2つ目の島である因島は、八朔(はっさく)の誕生の地として知られている。この名産を生かした名物スイーツ、実は、サイクリストの間では「しまなみ=はっさく大福」と言ってもいいほど、名物を越えた代名詞的存在となっているのだ。

多い時には1日2,000個も

しまなみ海道を端から端までツーリングしようとすると、最短でも70kmはある。楽しく走るためには、おいしいものはもちろん、栄養のあるグルメが必須となる。「はっさく大福」(130円)はロングライドの強い味方である糖分とビタミンが豊富で、ポケットに忍ばせておくのにぴったりなサイズなのだ。多い時には1日の販売が2,000個になるということからも、サイクリストのみならず、観光に訪れる人や地元の人にも人気なことが分かる。

「うちは地元・広島県産の餅米を用いて、一つひとつ手作業で作っているので、どの店の『はっさく大福』にも負けやしない!」と語ってくれたのは、「因島はっさく屋」代表の柏原伸亮さん。8時からの営業のため、仕込みは5時に始まる。

サイクリストも気軽に立ち寄れる「因島はっさく屋」は、因島大橋公園内にある

「因島はっさく屋」代表の柏原伸亮さん。大きさ・味わいともに、大福に合う八朔・イチゴを吟味している

ただ、その作業がすごいのだ。ひたすら八朔を剥(む)き、白あんと餅を巻いていく。一日どのくらい剥くのか聞いたところ、「よく数えていないです。数える間に剥いていってしまうから……」とのこと。質問している間も、慣れた手つきでするする剥いていく。

八朔は大福とのバランスを考え、ほどよいジューシー加減の品種を使用。口に含むと八朔はプチプチとはじけ、その甘酸っぱさに思わず口をすぼめてしまう。しかし、不思議なのが白あんの存在である。じわりとあんの甘さが広がるため、爽やかさも甘さもちょうどいいバランスなのだ。

大福作りは流れ作業で進む。その作業を店頭からのぞくこともできる

あっという間に八朔の皮は剥かれ、あんとともにくるくると巻かれていく

より甘好みなら「いちご大福」を

因島はっさく屋でははっさく大福のほか、「いちご大福」(130円)と、それを一回り大きくした「じゃんぼいちご」(200円)も展開している。イチゴには白あんではなく黒あんを使用しているのだが、特に「じゃんぼいちご」の方は、そのイチゴの大きさにびっくり! 断面を見てみるとほぼイチゴなのだ。はっさく大福に比べるとこちらは甘さを強く感じられ、やはり餅は相変わらずもちもちしている。

今までは「なくなり次第、閉店」だったようだが、最近は随時できたての大福を店頭に並べるようにしているという。とはいえ、大量買いしていく人も少なくないため、できるだけ時間に余裕を持って訪れるようにしよう。

「はっさく大福」(130円)と「いちご大福」(130円)

「じゃんぼいちご」(200円)と「はっさく大福」の断面ショー!

「因島まで行けないよ……」という方、数に限りがあるようだが、東京都・銀座にある広島ブランドショップ「TAU」でも展開している。しかしできれば、「職人」とも呼びたくなるスタッフたちが手作りしているショップで、その味を楽しんでいただきたい。きっと爽やかさも甘みも格別に感じられるだろう。

●information
因島はっさく屋
尾道市因島大浜町246-1(因島大橋公園内)
営業時間 8:00~17:00/定休日:月曜日

※記事中の情報・価格は2014年3月取材時のもの