前回解説したシングルマザーに比べると注目されることが少ないシングルファザー。今回はそのシングルファザーの暮らしぶりに迫るとしよう。解説していただくのは、ファイナンシャル・プランナーの中島啓子さんだ。

父子世帯数は約22万世帯

父子家庭の約17%が死別となっている

父子世帯数は、「平成23年度全国母子世帯等調査結果の概要(厚生労働省)」によると約22万世帯(推計値)で、母子世帯の約124万世帯に比べると少数派です。1年間の収入状況を見ると、父自身の就労収入は平均で360万円、世帯では455万円となっています。この数字は、児童のいる世帯の平均年収(国民生活基礎調査)の70%相当です。およそ90%のシングルファザーは働いており、うち正規職員や自営業が70%となっています。

しかし、家事や育児のサポートを得られない場合は、残業などを制限せざるを得ない状況となっていることでしょう。半数は親と一緒に暮らしていますが、女性に比べてまだまだ職場等の理解やサポートも少ないであろうシングルファザーは、勤務形態の変更などを余儀なくされるといった苦労があるようです。自治体によっては、ひとり親家庭向けのホームヘルプサービスなどの支援が受けられるので、これらの制度をうまく利用して、1人で悩みを抱えずに仕事と子育てを両立してほしいものです。

父子家庭は母子家庭よりも経済的に恵まれていることから(母子家庭の平均年間収入は母自身181万円・世帯291万円)、児童扶養手当は支給されていませんでしたが、平成22年8月から対象となりました。また、父子家庭のうちの約17%が死別ですが、今まで妻が残された場合のみに支払われていた遺族基礎年金も、今年4月から支給されることになり、今まで不公平感の強かった父子家庭への支援も見直されてきています。

働きたいお父さんの気持ちも、寂しい子供の気持ちもわかるだけに、頑張っている父子家庭にもっとスポットライトが当たるといいですね。

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