企業で取り扱うデータは、一昔前では想像できなかったほどに大容量化・多様化が進んでいる。

印刷・デザイン業界では、数多くのデザインデータや動画データを扱う。建設業や製造業などでは、3Dモデリングデータなどを用いて設計図やデザインをやりとりしている。一般企業でも、プロモーションのための高解像度映像や画像を広告制作会社から受け取ったり、顧客へ膨大なカタログ資料を送ったりと、大容量データを送受信するケースは少なくない。

もちろん、こうした大容量データのやりとりは国内に留まらない。コンテンツ制作を海外企業に発注することは珍しくないし、製造業においては、工場をアジア圏に設置することも多い。

企業がグローバル化を図るうえで、大容量データの送受信は大きな課題の1つとなる。ネットワークインフラが整っていない新興国やフロンティアへ進出するケースは少なくないし、先進国においても日本ほど高品質なネットワークが敷設されている国は、決して多くないからだ。

旧来のDVDなどのメディアに記録して輸送するという手法は、紛失や故障のリスクが依然として高いうえ、コストが膨大になるという欠点がある。

ネットワークを介した転送について、従来からよく利用されているFTPは、VPNなどによって回線の安全性を保つことはできるものの、転送速度が遅く大容量データのやり取りには適さない。

また最近は、インターネットのファイル転送サービスを活用する例も増えているが、安全性や確実性において大きな課題があり、重要なデータは扱えないのが現状だ。

ファイル転送サービスは安全性と確実性に大きな不安

マイナビが2014年3月に実施した「ファイル転送に関するアンケート」によれば、一般のファイル転送サービスを利用している回答者のうち、「大容量ファイルの転送」が最も多く63.9%、ついで「遠隔地へのファイル送信」が21.1%であった。また「重要なデータの送信」と答えた回答者も21.9%に上り、5人に1人がビジネスを推進する重要な手段としてファイル転送を活用していた。

ファイル転送サービスを利用する際の用途(n=512、複数回答)

ファイル転送サービスでやり取りするデータの種類について聞いたところ、「画像データ」が最も多く54.9%、ついで「WordやExcelなどのドキュメントデータ」が47.7%となった。そのほか「動画データ(18.9%)」「デザインデータ(18.2%)」「CADデータ(7%)」などが挙げられており、冒頭に解説した状況が数値として表れていることがわかる。

送信するファイルの種類(n=512、複数回答)

しかし、ファイル転送サービスがどのようなビジネスでも活用できるというわけではない。「困ったことや不満な点」については、40.8%が「安全性に不安がある」と回答したほか、そもそも「ファイル転送サービスを使っていない」という回答者の自由回答を確認すると、「セキュリティ上利用できない」「使いたいが会社が禁止している」という意見も散見された。

使っていて困ったことや不満な点(n=130、複数回答)

実際、一般のファイル転送サービスは利便性に優れているし、通信の暗号化などの一定のセキュリティ対策は施されている。しかし、サイバー攻撃によってID/パスワードを詐取されればデータの漏洩は免れない。企業側にとっても情報を制御できず、社員のミスや悪意による漏洩の危険は高いと判断するのは当然だ。

上述のアンケートでもう1つ興味深いのは、「確実性に不安がある」(20.8%)という回答だ。実際、データ転送の確実性を担保するようなファイル転送サービスはあまり見かけない。一方で、モバイルデバイスでの利用シーンを考えると、通信が途切れて送信に失敗してしまうケースはよくあることだ。大容量のデータが増えると、こうしたトラブルの影響は大きくなるに違いない。

一般のファイル転送サービスは非常に便利だが、セキュリティや確実性を考慮すると、ミッションクリティカルなファイルのやりとりにはなかなか活用できないのが現実だ。

こうした課題を克服し、すぐれたファイル転送を実現するソリューションとして注目されているのが、ソネットが提供している高速ファイル転送ソフトウェア「SilverBullet」である。

独自のファイル転送プロトコルでFTPの数十倍の転送速度を実現

SilverBulletは、Skeedが開発した大容量・高速ファイル転送ソフトウェアである。独自のファイル転送プロトコル「SkeedSilverBulletProtocol(SSBP)」を用いることで、これまで多くの企業で活用されている「FTP(File Transfer Protocol)」の数十倍もの高速転送を実現している。

SilverBulletは、「確実に転送できる」「時間を短縮できる」「強固なセキュリティで保護される」という3つの特徴を持つ。

SilverBulletのSSBPは、もし転送途中で通信が途切れても、接続が復旧すれば完了しているところから自動的に転送を再開する「レジューム機能」を実装している。モバイルデバイスのように不安定な状況でも、転送を何度もやり直す必要はない。

またSilverBulletには帯域制御機能(動的/静的)も実装されており、最適な通信状況を保つことで結果的に転送時間を短縮することができる。

動的帯域制御は、同一回線上のほかのトラフィックを検知し、ファイル転送による帯域を自動的に調整するものだ。これにより、帯域制限が厳しい海外拠点との通信においても、他の重要な通信を阻害することはない。

また静的帯域制御は、動的帯域制御の上限を任意に設定することができ、特に快適な通信環境が整えられない新興国拠点とのやり取りにおいても、あらかじめリソースを絞ることで安定したファイル転送が可能となる。

セキュリティ対策として、暗号化アルゴリズムは国際標準として信頼性の高い「AES-128」を採用しており、盗聴によるデータの復号はほぼ不可能だ。データの完全性については、これも国際的なハッシュ関数「SHA-1」を用いて担保される。

直感的なクライアントソフトで快適にファイルを転送

実際のシステム構成としては、SilverBulletサーバを構築して、SilverBulletクライアントを用いてサーバへ接続するという形態を採る。従来のFTPサーバと同様の利用イメージだ。

SilverBulletクライアントは従来のFTPクライアントのように直感的に操作できる

SilverBulletクライアントは、一般的なFTPクライアンソフトに似たインターフェースで、直感的に利用することができる。フォルダ単位でアクセス管理できるため、利用者間のセキュリティ対策も万全だ。

またSilverBulletは、「マルチホーミング機能」を実装しているため、拠点間接続で複数の回線を用いて冗長化を図っている場合にも対応可能だ。LANとWANで異なるIPアドレスを使い分けている場合にも適している。

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海外を含めた遠隔拠点同士で、大容量のデータをやり取りしたいというニーズは、現在のビジネスではごく一般的となっている。

しかし、記録メディアによる搬送はコスト的に現実的ではなく、従来のFTPも転送速度に大きな問題がある。インターネットのファイル転送サービスは便利だが、安全性や確実性に不安があるということは、アンケート調査の結果から明らかだ。

SilverBulletは、従来のFTPのような利便性を実現しつつ、ファイル転送サービスよりも安全で確実、しかも高速にファイルをやり取りでき、上述したような従来の手法の課題を解消するソリューションである。