オリンパス「OM-D E-M10」は、マイクロフォーサーズシステムに準拠したミラーレスカメラだ。2012年に発売された「OM-D E-M5」の下位モデルで、基本的なデザインと操作系を受け継ぎながらも一部のスペックを抑えることでより求めやすい価格を実現。その性能はどうなのか。実写レビューをお伝えしよう。

「OM-D E-M10」レンズキット

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まずは外観から見てみよう。ボディは高品位な金属素材で、カラーバリエーションはシルバーとブラック2色が用意。ボディの天面中央にペンタプリズムを彷彿させる三角形の意匠をあしらったデザインは、E-M5とそっくりだ。もちろんこのスタイルの源流は、70~80年代に人気を得たフィルムの一眼レフ機「OM」シリーズである。

E-M5との大きな違いは、ボディ天面にポップアップ式のストロボを内蔵したこと。E-M5でストロボ撮影する際は、標準付属する外付けの小型ストロボを装着する必要があったが、E-M10ではボタンを押すだけで内蔵ストロボがポップアップするのが便利だ。個人的には内蔵ストロボを使うケースはあまり多くないが、使用機会が限られるからこそ、外付けストロボを持ち歩かずに済むのが助かる。また、オプションの外部ストロボをワイヤレス発光させるためのコマンダーとして内蔵ストロボを利用できる点もありがたい。

シルバーのモデルは、銀と黒のツートーンカラーを採用。フィルムの一眼レフを思わせるレトロ風味のデザインだ

「E-M5」と比較して幅1.9mm、高さ7.3mmの小型化と29gの軽量化を実現。キットレンズについても大幅に薄型軽量化している

背面モニターは、チルト可動式の3型液晶を搭載する。上下方向に動くチルト可動の仕組みや静電容量方式のタッチパネルは既存モデルのE-M5と同じだが、有機ELから液晶へと仕様変更されている。E-M5の弱点のひとつだったモニターの緑かぶりは解消され、視認性はいっそう向上。ドット数も約61万ドットから約104万ドットへと精細化している。

また、E-M5では各種操作ボタンの感触がややフニャフニャしていたが、E-M10では防じん防滴構造を省いたことで、各種ボタンの感触はしっかりとしたクリック感のあるものに改良されている。

さらに、操作ボタンの形状変更によって押しやすくなったことや、液晶モニターのチルト可動中はアイセンサーの作動をキャンセル可能になったこと、好きな設定をモードダイヤルに割り当て可能になったことなど、操作の細かい部分に使い勝手を高めるさまざまな改良が施されている。

【左】手動ポップアップ式のストロボを内蔵。オート発光のほか、マニュアル発光に対応するのは同社製品の特長のひとつ 【中】各種のダイヤルやボタンの基本配置は、E-M5を踏襲。右肩にある再生ボタンとFn1ボタンの位置は入れ替わっている 【右】メニューのデザインと基本構成も継承。各種のボタン類は、形状の変更によってクリック感が向上している

逆にスペックダウンした点としては、ボディから防塵防滴構造を省略したほか、手ブレ補正が5軸対応から3軸対応になったこと、連写が9コマ/秒から8コマ/秒に低下したことなどが挙げられる。