レノボが2014年1月に発表した「新しいThinkPad X1 Carbon」は、CPUに第4世代Intel Coreプロセッサのほかに10点マルチタッチ対応のWQHD液晶(2,560×1,440ドット)を採用することで、高い処理能力と高精細な表示を手に入れた。しかし本製品は単なるスペックアップ版モデルではない。PCの操作性に重大な影響を及ぼし、ThinkPadの"キモ"ともいえるキーボードに新たな思想を盛り込んだことで注目を集めている。

今回はこの新しいThinkPad X1 Carbonの中でも、一番気になる10点マルチタッチ対応WQHD液晶搭載モデルを試用する機会に恵まれた。果たしてレノボの考える"新しさ"は、ノートPCの使い勝手に新風を吹き込むものなのだろうか? その辺を中心にチェックしてみたい。

新しいThinkPad X1 Carbon

■[製品名] 新しいThinkPad X1 Carbon (20A70047JP) 主な仕様 [CPU] Intel Core i7-4600U (2.1GHz) [メモリ] DDR3-1600 8GB  [グラフィックス] Intel HD Graphics 4400 (CPU内蔵) [ディスプレイ] 14型ワイド液晶 (2,560×1,440ドット、タッチパネル) [ストレージ] 256GB SSD [光学ドライブ] なし [サイズ/重量] W331×D227.1×H13.9~18.46mm/約1.43kg [バッテリ駆動時間] 約11.1時間 [OS] Windows 8.1 Pro 64bit [店頭価格] 256,000円前後

14型では最軽量クラス

新しいThinkPad X1 Carbonの基本構成は、店頭販売モデルと直販モデルで微妙に違う。店頭販売モデルはCPUが「Core i7-4600U」か「Core i5-4200U」の二択で、液晶はどちらも10点マルチタッチのWQHD液晶。

これに対し直販モデルの場合は液晶はHD+(1,600×900ドット)が標準で、マルチタッチなしWQHD液晶とマルチタッチ対応のWQHD液晶はオプション扱いになる。さらにCPUは内蔵GPUの強力な「Core i7-4550U」も選択できる。マルチタッチ対応を省くと重量は1.27kgまで軽くできるので、なるべく軽いものが欲しいなら直販サイトの利用がオススメだ。

ボディは従来モデルと変わらずカーボン素材の採用で薄く、かつ頑丈な作りを売りにしている。従来モデルと比較すると、約70g重くなったが、ヒンジ部分付近で2.5mmほど薄くなった。

新旧X1 Carbonの薄さを比較(上が新型)。液晶部分がより薄くなった感じだ

引き続きドロップヒンジを採用することで、180度の展開が可能になっている。180度の展開はThinkPadのキーポイントの1つとしてデザインされている。対面した相手に液晶を見せつつ、自分も液晶を見ながら説明するといった使い方できる

さらにボディカラーは「ThinkPad T440s」などでも採用されているが、グレーとも感じる光沢加工となったために、旧モデルよりも視覚的な軽さも加わった。ThinkPadの伝統でもあったつや消しブラックの本体と赤いトラックポイントのコントラストに親しんでいた人には残念だが、今回のグレー+レッドの色合いもなかなか上品でよい感じだ。

左が光沢仕上げの新しいThinkPad X1 Carbon、右がつや消しの初代ThinkPad X1 Carbon。質感の違いがよくわかるだろう

パームレストやパッド周りのデザインも「ThinkPad T440s」に近い。パッドは物理ボタンを搭載せず、押す指の位置で左右中央クリックを判断するタイプだ

搭載インターフェースの種類と配置は従来モデルと大きく様変わりした。最も目立つのはSDカードリーダーが排除され、そのかわりにHDMIと独自の有線LANアダプタ用コネクタが配置された。

また、ACアダプタ用の端子が大型のThinkPad Eシリーズでのみ対応していた「ThinkPad OneLinkドック」対応になった点も見逃せない変更点だ。このケーブル1本で電源はもとより、有線LANやHDMI、USB 3.0を一気に装着できるようになる。ドックが別売である点が残念だが、薄型ノートで犠牲になりがちな拡張性を補う良い変更ではなかろうか。

右手のUSB 3.0端子のすぐ横に見える小さな端子に付属の有線LANアダプタを装着する

左側面にはACまたはOneLinkドックコネクタをはじめ、HDMIやMini DisplayPort出力等を備える

背面やや右に見えるのはSIMスロットだが、国内流通モデルではモデムが内蔵されていないため、機能しないのが残念