【レポート】

富野由悠季監督が語る「アニメの専門化とリアリティの喪失」、そして『ガンダム Gのレコンギスタ』

1 「アニメーションに未来なんてねえよ!」それを突破する方法はひとつ

藤井ファール  [2014/03/24]
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3月21日、TOHOシネマズ日本橋にて「東京アニメアワードフェスティバル2014」が開催され、新作アニメ『Gのレコンギスタ』発表をしたばかりの富野由悠季監督がトークセッションを行った。

左から加藤崇氏、富野由悠季監督、セドリック・リタルディ氏

ゲストにフランスのアニメビジネスのパイオニア、セドリック・リタルディ氏と人型二足歩行ロボットの開発に携わったシャフト社を立ち上げ、経営に関わった実業家・246キャピタル株式会社の加藤崇氏を招いて、『アニメの未来』について語る……のだが、富野監督は開口一番、「アニメーションの未来についてですが、未来なんてねえよ!」といきなりデッドボール級の一言を投げてきた。ただし条件が付きますが、となけなしのフォローを入れるも……

富野監督:今『源氏物語』(超現代語訳)を読んでるけど、1000年前から末世、この世は終わりだってずっと言ってるんだから! 未来なんてないんですよ! これが理解できれば後の話は一切聞く必要はない! ……この後どうしよう(笑)。

開始1分で富野ワールド全開である。約2時間にわたる長尺のトークとなったが、終盤には皆さんが最も期待している『ガンダム Gのレコンギスタ』についても富野監督自らが語っているので、読み進めていただきたい。

アニメの専門化とリアリティの喪失

なぜ、アニメに未来はないというのか、富野監督はこう語る。

富野監督:専門学校なんかができて、アニメの専門職というものが確立しましたが、専門家が集まると視野狭窄が起こる。50年、40年前のアニメスタジオにはアニメのことなんか何もわからずいろんなところから集まってきた連中ばかりがいて、彼らはそれぞれアニメ以外の分野の「リアリティ」を持っていた。それを持たない、アニメ好きがアニメに特化した専門職になってアニメを作ったら、自由な作品なんてできるわけがねえだろ!

富野監督:ましてやYou Tubeのようなものができて、アニメの個人製作が可能となれば、ますます個人の妄想を作品化する傾向もでてくる。それは作品ではなく個人の日記みたいなもので、そういったものにアニメの未来があるかと言われれば、あるわけがない。ディズニー的なものなら未来はあるのか? ディズニー的なものに汚染された人たちは「アニメとはディズニーみたいなものだ」と考えて同じものを作り続ける。これも未来なんてあるわけないだろ? 先なんかないんです。

本当に未来などないのだろうか?

富野監督:突破する方法はひとつある。俺たちは無理だってことを認めて、お前らやってくれって子や孫に投げ与えていくっていう方法をきちんととること。それを今一番、現場にいる人間が考えなくてはならないが、こういう問題意識を持っているスタッフはほとんどいません。

そして富野監督は「僕は才能がない人間だから、作品歴を見ての通り、コンスタントに作品を作れないわけです」と語る。確かに、空白の時期がいくつもある。さらに、「何人かの才能のある人間がコンスタントに作り続けたが、作品はどれも同じ(ぐらい優れた)ものが作れたとは思えない。そういう事実を見極めていくべき」だという。確かに、1人のクリエーターがずっと良質なアニメを作り続けた、という事実はないといっていい。それはなぜか? どのような問題があるのか? その問題の存在を認めて、後進のために明文化して残す……それにより次の世代が問題を解決して、新しいものを作ってくれるんじゃないかと、富野監督は「アニメの未来」を考えていた。

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インデックス

目次
(1) 「アニメーションに未来なんてねえよ!」それを突破する方法はひとつ
(2) アニメも含めた「社会構造の問題」
(3) アニメという媒体の優れた性能
(4) 『グレンダイザー』が立派な作品である理由
(5) 『Gのレコンギスタ』はテクノロジーのアンチテーゼか
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