「竜王」という言葉をご存知だろうか。将棋のタイトル戦の中でも最高峰と言われるタイトル戦が「竜王戦」であり、その勝者は「竜王」と呼ばれる――。

その「竜王戦」の名を冠したポケモン大会が、日本将棋連盟の協力のもと開催された。その名も「ポケモン竜王戦」。今年1月から全国6地区で行われた予選を勝ち上がった32人の強者小学生による「ポケモン竜王戦」決勝大会が22日、東京・読売大手町ホールで行われた。

3月22日、東京・読売大手町ホールで行われた「ポケモン竜王戦」

将棋といえば、現在開催中の「第3回将棋電王戦」が注目を集めているが、この日の「ポケモン竜王戦」決勝大会には、なんと将棋界から森内俊之竜王・名人や一線級のプロ棋士が参戦し、さらにはお笑いコンビ・オードリーの春日もサプライズで登場。これ以上ない豪華な面々が駆けつけて、大盛況のうちに幕を閉じた「ポケモン竜王戦」、今回は決勝大会の模様をお伝えしたいと思う。

予選を勝ち上がった32名の猛者たちが登壇

オープニングセレモニーでは、カードゲーム大会・ゲーム大会の代表それぞれ16人ずつ、合わせて32人が登壇。今回の大会は、小学生しか参加できないルールとなっているが、テレビのカメラも入っている上に、立派なレッドカーペットの上を、名前が呼ばれて登壇するという経験。小学生のうちからこのような経験ができるというのはとてもうらやましいことだ。私含め、正直生まれてから一度もレッドカーペットを歩いたことのない人間の方が多いんじゃないか。

『ポケモン』のカードゲーム大会、ゲーム大会それぞれの「竜王」に授与される「ポケモン竜王戦」特別モデルの『ニンテンドー3DS』とトロフィー

いつもと違った一面も!? プロ将棋棋士たちによるポケモンガチバトル

会場では、まず阿久津主税八段、野月浩貴七段、中村太地六段、田中悠一四段による、エキシビジョンマッチが行われた。優勝者にはなんと今回の大会の賞品と同じ「ポケモン竜王戦」特別モデルの『ニンテンドー3DS』が与えられると発表され、4人の目つきが変化。正真正銘のガチバトルがスタートする。抽選の結果、中村六段と田中四段、阿久津八段と野月七段が一回戦を戦うことに。

中村太地六段(左) 対 田中悠一四段

まず中村六段と田中四段のバトルがスタート。中村六段は「ポケモン竜王戦」の東京大会・名古屋大会の応援にも参加しており、「その経験を活かしてがんばりたい」と気合十分。一方の田中四段は「(中村六段は)知識が多いと聞いているので、いきなり強敵と当たったな、と」と苦笑い。結果は、序盤は苦戦したものの中村六段が押し切り勝利。中村六段は「最初まずいと思ったけど、効果抜群をとれて逆転できてよかったです」、田中四段は「最初上手くいってたんですけど、途中から実力が出ましたね。将棋で負けたときと同じくらい悔しいです」と対戦を振り返った。

阿久津主税八段(左) 対 野月浩貴七段

続く阿久津八段と野月七段の対戦は、野月七段が「ナットレイ」という防御よりのポケモンを駆使し、粘り強い試合を見せて勝利。阿久津八段は「将棋と同じか、それ以上に負けて悔しいです。有利だな、と思ってもなかなか勝てないものですね」とポケモンの難しさを実感した様子だった。