【レビュー】

3D CAD時代に最適なビデオカードAMD FirePro W5000で作業効率が劇的に改善

三枝正幸
 

製造業の設計現場は、2D CADから3D CADへと移行しつつある。3D CADは、360度回転させて部品の干渉を隅々までチェックできるほか、3Dプリンタ用の造形ファイルを直接作ってラピットプロトタイピングに利用できるなど、2D CADでは不可能なことを容易に実現できることがメリットだ。しかし、3D CADを快適に扱うためにはPCのパフォーマンス、その中でもビデオカードのパフォーマンスが大きく左右する。そこで注目すべきは、業務向けビデオカード製品であるAMDのFireProシリーズだ。今回はシリーズの3D GraphicsAcceleratorに分類され、そのなかでのミドルレンジ製品にあたる「AMD FirePro W5000」でその実力を見ていこう。

3D CADのレンダリング時間を大幅に短縮

多くの設計者にとって悩みの種となるのが3D CADのレンダリングにかかる負荷だろう。3Dモデルは、部品の数が多くなればなるほどレンダリングに時間がかかる。さらに、ほかの作業をしようとしてメモリがパンクし、ソフトが強制終了してしまっては元も子もない。そう考えると、レンダリングの時間を短縮できるかどうかは、OpenGLカード選びの大きな選択基準となる。

そこで、パフォーマンスをワークステーショングラフィックスの標準指標ベンチマークである「SPECviewperf12」で計測してみよう。評価用のシステムは、マウスコンピューター製のクリエーターPCシリーズから、AMD FireProW5000を搭載したモデルを用意した。CPUには6コア/12スレッド対応のCore i7-4930K(3.4GHz/TurboBoost時3.9GHz/12MBキャッシュ)を、メモリは32GB搭載した構成だ。

SPECviewperf 12は、Energy、Medicalといった用途を特定したテストや、Maya、NX、Solidworksといった業界でよく利用されるアプリケーションのエンジンを用いたレンダリングテストなどが順次実行される。

このSPECviewperf 12におけるAMD FireProW5000のスコアは以下のとおりだ。Compositsという項目がスコアであり、数値が高いほど高性能ということになる。なお、同一システムでNVIDIA Quadro K2000でもベンチマークをしたが、そちらのスコアと照らしあわせてみても、全項目でそれを上回る結果となった。特にcatia-04やmaya-04では1.5倍、showcase-01やsnx-02では2倍からそれ以上のスコアである。

FirePro W5000のスコア。全項目で比較対象を上回り、テストによっては2倍以上のスコアのものもある

比較対象のスコア

4K+マルチモニターで作業効率を大幅アップ

3D CADソフトを使う設計者が仕事の作業効率を上げるとき、描画性能と同様に重要なポイントとなるのが、画面の作業領域が広いことだろう。3D CADソフトで別々のウインドウに分かれた部品と図面を同時に表示したり、3D CADソフトと製品データ管理ソフトを同時表示したりなど、複数のウインドウを表示した状態で作業をすることが多い。作業領域が狭いとウインドウを適宜切り替えなければいけず、作業効率が下がるいっぽうだ。

高解像度と言えば、現在注目されているのが「4K」ディスプレイだろう。3840×2160ドットという高精細なディスプレイを用いれば、とくにクオリティチェックの面で作業効率が向上する。現在、4K出力ができるインタフェースとしては、HDMI1.4またはDisplayPort1.2が挙げられる。ただし、注意したいのは、HDMI接続の場合、リフレッシュレートが30Hzに制限される点だ。PC用ディスプレイにおけるリフレッシュレートは一般的に60Hzであり、30Hz表示の場合、画面情報の更新頻度が目に追いつかず、例えばマウスポインタが、実際の操作から若干遅れるといった違和感を覚えることがある。一方、DisplayPort1.2なら、4Kディスプレイでも60Hz表示をサポートしている。4Kディスプレイで、快適に作業をしたいならば、ビデオカードのパフォーマンスはもちろんだが、出力端子面でDisplayPort1.2の搭載が必須なのである。

そうした要求も、AMD FirePro W5000ならば叶えてくれる。AMD FirePro W5000にはDisplayPort1.2ポートが2基搭載されているため、4Kディスプレイを2面利用するといったことも可能だ。あわせて、現在、制作現場で普及している2560×1600(あるいは1440)ドットのディスプレイに出力できるデュアルリンクDVI-Iも1ポート搭載している。DisplayPort自体は、現行のプロフェッショナル向け液晶ディスプレイでは普及が進んでおり、例えばDisplayPort×2とDVIで3画面のマルチモニタなども構築可能だ。その際、AMD独自のEyefinityテクノロジーを用いれば、個別の3つのディスプレイだけではなく、ひとつの広大なデスクトップとして利用することも可能で、生産性を大きく向上させることが可能だ。

なお、CADの現場にいてFireProを選ぶことのメリットは、意外なことにアプリケーションへの最適化やサポートにもある。ドライバとは別に「Performance Plugins」が用意されており、3D CADソフトの3ds Max用のものがダウンロードできる。また、逆にアプリケーション側でも動作検証およびその認定制度を採っていることもあり、SolidWorksなどから認定を得ている。こうした双方からの最適化により、パフォーマンスを最大に引き出し、安定した運用が可能になっているのだ。

高性能なのに低消費電力。運用を含めたトータルコストでもメリットあり

ほかにも、最近重要視される指標として、消費電力あたりのパフォーマンスも挙げられる。この点でも、FireProなら様々な省電力機能が搭載されており、「かしこく」節電してくれる。代表的な機能としては、AMD「PowerTuneテクノロジ」と同「ZeroCorePowerテクノロジ」があり、前者は動作中、GPUの動作クロックを動的に制御することで、GPUの使用率に合わせてパフォーマンスと低消費電力を両立する機能、後者はアイドルステートなどでディスプレイの電源がオフになった際に、必要最小限の回路を残し、電源供給をオフにすることで消費電力を抑える機能だ。

また、AMD FireProW5000自体も低消費電力な製品で、例えば補助電源が不要なほか、消費電力値が75Wと低い。冷却のためのクーラーも1スロットしか専有しない薄型構造で、拡張カードスペースの少ないワークステーションにも搭載可能なことに加え、電源ユニットの制限にも左右されにくい。一方、さらなるパフォーマンスを求める場合には、「CrossFirePro」テクノロジにより、カードを追加することで対応できる。

現場において「快適」なパフォーマンスとレスポンスを実現するFirePro

3D CADの制作現場で求められるクオリティや安定性、それらを実現するのは、業務用途に専用設計されたビデオカード「FireProシリーズ」だ。最適化と専用ドライバによるOpenGL性能の向上、ECCによるデータに忠実なレンダリング、そして4K時代を見据えたデザイン。AMD FireProW5000は、なかでもその性能と価格のバランスで、優れたコストパフォーマンスを実現してくれる製品だ。

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